HOME5. 政策関連 |金融庁、サステナブルファイナンスの国際共通基準化を調整する国際プラットフォーム(IPSF)に参加。タクソノミーの共通化議論に参加へ(RIEF) |

金融庁、サステナブルファイナンスの国際共通基準化を調整する国際プラットフォーム(IPSF)に参加。タクソノミーの共通化議論に参加へ(RIEF)

2020-11-27 11:27:53

IPSF001キャプチャ

 

 金融庁は、サステナブルファイナンスの基準共通化を進める国際的プラットフォーム(International Platform on Sustainable Finance:IPSF)に正式メンバーとして参加した。IPSFはEUの欧州委員会が主導して、サステナブルファイナンスの対象事業のタクソノミーの共通化等を議論するために設立された。10月に共通タクソノミー化のワーキンググループをスタートさせている。

 

  IPSFは、2019年10月に設立された。EUがサステナブルファイナンスをグローバルに推進するために発足させた。金融庁の参加で参加国は15カ国となる。サステナブルファイナンスに関するベストプラクティス促進のための情報交換や、同ファイナンス推進のための課題の調整等を目的としている。事務局は欧州委員会が務め、国際通貨基金(IMF)等の9つの国際機関がオブザーバーとして参加している。

 

  IPSFの最大の目的は、EUが主導して進めているタクソノミーの国際共通化基準作りにある。10月には、「共通タクソノミー」づくりのためのワーキンググループを設立、共同議長に中国とEUが就任した。来年半ばまでに共通タクソノミーの考えを整理する予定。金融庁は同ワーキングに参加するとみられる。http://rief-jp.org/ct4/107602

 

 IPSFは、サステナブルファナンスを促進するためのタクソノミーのほか、情報開示、基準・ラベリング等の分野を中心に国際的な調整を進めることを目指すのが目的。タクソノミーについては、EUと中国のほか、インド、カナダ、マレーシア等がそれぞれ独自のフレームワークを設定している。オーストラリアの金融界で構成するASFIも同国独自のタクソノミーの設定を提案している。

 

 現在、日本はタクソノミーを整備していない。経産省・経団連は、タクソノミー基準化について、①「サステナブル」の判断は環境側面だけで、総合評価に立脚すべき②民主導の非連続的なイノベーションを阻害してはならない③拙速な国際標準化や国際金融規制への活用に反対--との立場を表明している。https://rief-jp.org/ct4/94039

 

 国内でのタクソノミー整備を否定するだけでなく、EUのタクソノミーのほか、国際標準化機構(ISO)が進めるグリーン負債製商品の規格化作業にも反対票を投じるなど、「反タクソノミー」の立場をとっている。

 

 今回、金融庁がIPSFの中で、こうした「反タクソノミー」の姿勢を明言するのか、あるいは、条件闘争として国内のタクソノミー制定の方向に舵を切るのかが、注目される。

 

 IPSFへの参加15カ国は、世界の温室効果ガス排出量の55%を占め、GDPの50%を占める。バイデン次期米政権がIPSFに参加するかどうかも注目点だ。

 

 現在の参加国:アルゼンチン▼カナダ▼チリ▼中国▼EU▼インド▼インドネシア▼日本▼ケニア▼モロッコ▼ニュージーランド▼ノルウェー▼セネガル▼シンガポール▼スイス

https://www.fsa.go.jp/inter/etc/20201120.html

https://ec.europa.eu/info/business-economy-euro/banking-and-finance/sustainable-finance/international-platform-sustainable-finance_en