HOME |ノルウェー、2020年新車販売に占める電気自動車、過半の54.3%。欧州最高の水準。EV化促進の原動力は補助金より減税。2025年のガソリン・ディーゼル車の新車販売停止へ順調(RIEF) |

ノルウェー、2020年新車販売に占める電気自動車、過半の54.3%。欧州最高の水準。EV化促進の原動力は補助金より減税。2025年のガソリン・ディーゼル車の新車販売停止へ順調(RIEF)

2021-01-09 23:30:23

NorwayEV001キャプチャ

 ノルウェーは、昨年の国内での新車販売のうち電気自動車(EV)が全体の54.3%を占め、初めて過半数を上回ったことがわかった。ノルウェーは2025年までにガソリン車やディーゼル車等のCO2排出源の新車販売を終了する目標を掲げている。EVへの転換促進のカギは、政府補助金ではなく、自動車減税だという。

 ノルウェー道路連盟によると、2020年の新車販売台数は全体で14万1412台。このうちEVは7万6789台と、年間を通して過半数を初めて上回った。2019年の42.4%から10ポイント以上も増えた。2011年に75.7%と市場の大半を占めていたディーゼル車は、シェア率8.6%にまで減少した。

 年間を通してEV販売が高かっただけでなく、年末12月の新車販売に占めるEV比率は、平均を大きく上回る66.7%にまで伸びた。ノルウェー市場でのEVはすべて輸入車。同国でシェアの高いドイツのダイムラー・メルセデス・ベンツ、オペル、フランスのプジョー、シトロエン、韓国の起亜自動車等は、2021年のEV車販売割合は70%以上にする方針という。ノルウェー電気自動車協会は、21年のEVシェアは65%以上と予測している。

 ノルウェーでEV化の最大の推進力は、日本のような政府の補助金ではない。同国の税制は、ぜいたく品への課税は世界でも最も高いとされ、自動車もその対象。VAT(付加価値税:通常25%)のほか、道路税、カンパニーカー税等、多様な税金が課せられる。そのため自動車の平均価格は、EU平均の2万6000~2万9000ユーロに対して、4万3000~4万6000ユーロと高額だ。

 ノルウェー政府は、この税率をEV車購入者に対して減免税することで、購入インセンティブを高めている。課税は税務署が、国民の収入から一定額をかすめ取るためのものではなく、集めた税金で国民と社会のために有益に使うことである。同国政府はその基本通りに、国民と地球のためのEV促進に税金を配分しているわけだ。

 EVを購入すると税金が減免されるだけではない。EVは自治体の駐車場で無料駐車が認められるほか、有料道路での自由通行、バスレーンの通行許可(他に乗客を乗せている場合)等、さまざまなインセンティブを享受できる。

 現在、同国の自動車関係者が懸念しているのは、同国以外の欧州諸国でもEV需要が高まっている点だ。輸入メーカーから同国市場へのEV配分を十分に確保できるかが課題という。

 新車販売でEVが過半を占めた同国だが、現在の国内を走る自動車総数に占めるシェアは、まだ1割弱(9%)でしかない。自動車総数は280万台で、このうちEVは26万台。マイカー等の自動車の切り替え率が日本などよりも低いためだ。

 一方でノルウェーは石油・ガス生産国としても知られる。しかし、国内電力の9割以上は水力発電による「CO2ゼロ電源」でまかなっている。したがって、EVの電源も「ほぼCO2ゼロ電力」なので、「ネットEV車」ということになる。

https://jp.reuters.com/article/us-autos-electric-norway-idINKBN29A0ZT

https://www.theguardian.com/environment/2021/jan/05/electric-cars-record-market-share-norway

https://ofv.no/