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伊藤忠、石炭火力用の炭鉱ビジネスから撤退へ。大手商社初。2024年までにコロンビア、オーストラリア等での保有株売却方針。鉄鋼用原料炭ビジネスは継続(各紙)

2021-01-15 11:35:54

itochu001キャプチャ

 

 伊藤忠商事は脱炭素化を進めるため、石炭火力用の石炭鉱業ビジネスからの撤退を決めた。2024年までにコロンビアとオーストラリアの石炭火力用炭鉱事業の株を売却する。同社はこれまで、新規の石炭火力用の炭鉱業への投資はしない方針を示していたが、今回は、現在の保有株も売却することで、石炭鉱業ビジネスから完全に脱却することになる。ただ、鉄鋼用等の原料炭ビジネスは継続する見通し。

 

 ロイター等が報道した。日本の大手商社で石炭火力用の炭鉱ビジネスからの完全撤退を明言したのは伊藤忠が初めて。菅政権の「2050年温室効果ガス排出ネットゼロ」宣言に向けて、石炭火力発電の縮小が展望されることから、事業展開を図るものとみられる。伊藤忠の方針は、三菱商事、住友商事、三井物産等の他の大手商社にも影響を及ぼしそうだ。

 

 伊藤忠の「方針」は、このほど公表した中期経営計画(2021~23年度)の骨子と連動する形で示された。石炭火力用の炭鉱ビジネスからの撤退に伴う経営への影響や、回収する資金の新たな投資先等については、今年度決算確定後の4月か5月に公表の予定という。

 

 24年までに保有株を売却対象とするコロンビアの炭鉱はDrummond 鉱山。年間600万㌧の火力発電用の石炭を産出している。またオーストラリアでも、 Maules Creekmine(年産90万㌧)と Ravensworth Northmine(同150万㌧)等が対象となる。

 

 一方で、鉄鋼製造等に使う原料炭については、2019年12月に、米ウエストバージニア州で開発中のLongview原料炭炭鉱会社の株の25%を新規取得するなど、事業継続・拡大の姿勢を維持している。同炭鉱は2022年末からの生産を見通している。

Japan’s Itochu Corp. sets 2024 thermal coal exit date – Institute for Energy Economics & Financial Analysis (ieefa.org)

  https://www.itochu.co.jp/ja/ir/news/2021/__icsFiles/afieldfile/2021/01/13/ITC210113_J_2.pdf