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仏エネルギー大手Total、社名を「Total Energies」に変更へ。石油単独依存から、天然ガス、再エネ等の多角化転換への「リブランド戦略」、ノルウェー「Equinor」に次ぐ決断(RIEF)

2021-02-09 23:44:57

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 フランスの石油大手トタル(Total)は9日、社名を「トタル・エナジーズ(Total Energies)」に変更することを公表した。同社は2030年までに石油事業の販売割合を現在の55%から30%に削減、2050年には事業活動で発生する温室効果ガス排出量をゼロにする計画の実現を目指す。

 

 (写真は、社名変更を説明するCEOのパトリック・プヤンネ氏)

 

 5月28日に開く株主総会に社名変更案を諮る予定。「Total」から「Total Energies」と複数形にすることで、これまでの石油集中・依存から、天然ガス、再生可能エネルギーのエネルギー源と、電力販売の2つを柱とした多角化経営に切り替えることで、「ネットゼロ企業」への転換を強調する狙いがある。

 

 CEOのパトリック・プヤンネ(Patrick Pouyanne)氏は「われわれは常にパリ協定の目標を支持している。エネルギー事業を通して、その実現を目指している。(社名のリブランドは)2030年までのグループのプロフィルを変えるための計画を始めるための歴史的な意味を持つ」と語っている。

 

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 欧州のエネルギー大手企業のリブランド事例としては、2018年にノルウェーの「Statoil」が社名からOilを外した「 Equinor」に切り替えたことに次ぐ動きだ。http://rief-jp.org/ct4/77925

 

 日本の国際石油開発帝石(INPEX)も先月、「2050年ネットゼロ」を掲げるとともに、国内外での名称を「INPWX」に統合することで、社名から「石油開発」「帝石」の両方の「石油」名を消し去ることを決めている。http://rief-jp.org/ct8/110323?ctid=72

 

 トタルは昨年5月に、事業から生じる温室効果ガスの排出量を2050年ネットゼロとする目標を掲げている。同時に、顧客に販売するエネルギー製品も、同年までに60%まで排出量を削減する3段階の計画を立てている。

 

 目標達成のために、英スコットランドのSeagreen 洋上風力事業の運営権を獲得したほか、今年に入って、イングランドでもCrown Estateが開発する第4期の大陸棚リース契約を得るなど、再エネ事業を拡大している。先月には、米国の石油・エネルギー企業で組織するアメリカ石油協会(API)での気候変動対応を巡る議論の末に、メンバーから脱退した。

 

 財務的には、新型コロナウイルス感染拡大による経済低迷と、石油価格の低下の両方の影響を受け、2020年は72億㌦の純損失を計上、前年(19年)の112億㌦の純益から一転した。損失の中には、カナダのオイルサンド資産等の減損100億㌦を含む。北海での非主要資産150億㌦の売却等で、最終損益は40.5億㌦の黒字にとどめたが、前年比66%の減益となった。

https://new-publications.total.com/annonce-0902-2021/index-fr-message.html