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出光興産、自前の超小型電気自動車(EV)の生産正式発表。既存の自動車の購買層に当てはまらない潜在需要年間100万台をターゲット。10月に新EV発表、販売は2022年に(RIEF)

2021-02-16 21:48:04

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 出光興産は16日、自前の超小型電気自動車(EV)の生産を正式に発表した。協働するタジマモーターコーポレーション(東京)と、次世代モビリティとサービスの開発を行う新会社を4月に設立する。新EVは10月に発表し、22年に販売する予定としている。販売価格は1台100万~150万円を目指し、年間100万台の潜在需要を掘り起こすとしている。既存の自動車メーカーにとっては強力な競争相手となりそうだ。

 設立する新会社は「出光タジマEV」社。タジマモーターの関連会社であるタジマEVに出光興産が出資し、商号を出光タジマEVへ変更して、共同会社とする。http://rief-jp.org/ct4/110862

 販売予定の新EV車は、全長2.495m、幅1.295m、高さ1.765m。現行の軽自動車をさらに一回り小さくしたサイズ。60V、10kWhのバッテリーを搭載し、8時間の充電で最大出力15kW、最高速度の60km。乗用タイプは4人乗り。1人乗りのカーゴタイプも販売する。出光が全国に展開する6400ヵ所の系列SSネットワークで販売を予定している。

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 出光興産とタジマモーターが超小型EVを開発したのは、公共交通機関が脆弱な地方で、軽自動車よりも手軽で小回りの利くモビリティ(移動手段)への潜在需要が大きいことを踏まえたものだ。両社は、岐阜県飛騨市・高山市、千葉県館山市・南房総市で2年間の実証実験を実施した。

 その結果、高齢者層には免許返納に伴う移動のニーズが急増しており、運転経験が浅い層には日々の買い物や子供の送り迎えに自動車では不安があり、自転車や原付に代わる安全で安心な移動手段の需要があると分った。近隣営業の営業職層も、一日の移動距離が15km未満、車両稼働率も20%以下で、軽自動車ほどの高い性能・機能は要らないといった需要があることがわかった。

 こうした需要は、既存の移動手段では対応できず、その潜在需要が年間100万台に上ると想定。手軽で小回りの利く、必要最小限の機能を備えたモビリティと、デジタル技術を活用した利用の仕組み、法人と個人の需要に応える新たな利用モデルを提供することで、移動に関わるコストの低減と地域課題に対する有効な解決策を提供できるとしている。

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 両社が開発する超小型EVは昨年9月に国土交通省が発表した超小型モビリティの新規格に準拠する。既存の軽自動車よりも一回り小さく、最高速度60km/h以下の低速で走行するので、運転に不安や不慣れな高齢者や女性等の利用も想定している。

 出光では、カーシェアリングや定額で利用可能なサブスクリプション、利用者のニーズに合わせたMaaSを開発し、超小型EVと合わせて、全国の系列SSネットワークで販売する。将来は、SSで展開する電力販売と超小型EVを組み合わせた新たなサービスの開発や、高齢者の運転の見守り、EV車のバッテリーを活用した分散型エネルギーシステムの構築、車両・バッテリーのリサイクルシステムなども展開するとしている。

https://www.idss.co.jp/news/2020/210216_1.html