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海運世界最大手、デンマークのMaersk(マークス)、バイオ燃料からのメタノール燃料船、2023年までに運航開始へ。顧客企業のScope3のカーボンニュートラル需要を引き受けへ(RIEF)

2021-02-19 17:25:45

Maeske001キャプチャ

 

 世界最大の海運大手、デンマーク拠点のAP・モラ―・マークス(Maersk)は、「2050年ネットゼロ」目標の中間点としていた2030年でのゼロカーボンのバイオ燃料からのメタノール船の運航を、当初より7年前倒しして2023年に開始すると公表した。製品・サービスのカーボンニュートラルを求められるグローバル企業にとって、サプライチェーンの物流面でもカーボンニュートラル船を利用できることになる。

 

  現在使用される多くのメタノール燃料は、天然ガスから合成される。Maerskが開発するメタノール船は、バイオ燃料等から製造したものか、あるいは硫黄酸化物(SOx)排出量を大幅に削減した超低硫黄燃料油(VLSFO)か、のどちらにも対応できるデュアル燃料技術を導入する。同社の新造船はすべて同システムを導入する。

 

 当初の予定では、2030年の導入予定だった。だが、カーボンニュートラルの認証付きメタノール燃料確保の見通しが立ったことから、前倒しする。これにより、2030年には同社のグローバル物流網から排出されるCO2量の60%を削減でき、2050年ネットゼロが、他社に一歩先んじる形で、現実化することになる。

 

 MaerskのCEOのSøren Skou氏は「われわれが2018年に『2050年カーボンニュートラル船舶』の保有を公表した段階では、その実現は、『月に行く』ほどの極めてチャレンジングだった。しかし、今もチャレンジングではあるが、目標への到達が見えた」と指摘している。

 

  2050年に向けたカーボンニュートラルの達成には、企業の直接排出のCO2(Scope1)、光熱費の様な間接排出のCO2(Scope2)に加えて、物流を含むサプライチェーン等での排出(Scope3)のネットゼロ化が求められる。このうちScope3の達成がもっとも困難とみられる。今回、Maerskが物流面でのネットゼロ化に道を示したことで、グローバル企業のネットゼロ競争が加速しそうだ。

 

 同社の顧客のうち最大顧客200のほぼ半数は、そのサプライチェーンにおいて、野心的なサイエンスベースドかあるいは、ゼロカーボン目標を設定しているという。この比率は上昇傾向にある。海運業界全体が、こうした荷主企業の「カーボンゼロ需要」に対応することが迫られている。

 

 Maerskはメタノール燃料に加えて、アンモニアやアルコール性リグニン等の低炭素化燃料についても、将来の主要燃料源として位置づけている。Maerskの船団と戦略ブランド責任者のHenriette Hallberg Thygesen氏は「将来の主要な燃料源として、さらに多様な燃料源を開発していく。そのためにも顧客企業との協力が欠かせない」と指摘している。

 

 またMerskは、風力発電大手のオーステッド(Ørsted)をはじめ, Copenhagen Airports、 物流会社のDSV Panalpina、フェリー会社のDFDS、航空会社SAS等と連携し、新たなサステナブル燃料供給体制の整備も2023年をメドに進める方針だ。

https://www.maersk.com/news/articles/2021/02/17/maersk-first-carbon-neutral-liner-vessel-by-2023