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トヨタ自動車、日本企業で過去最大のサステナビリティボンド等のESG債発行。個人向け、機関投資家向けで最大合計5000億円。開発する「ウーブン・シティ」向け資金等に充当(RIEF)

2021-03-03 12:53:40

Toytawoven001キャプチャ

 

 トヨタ自動車は3日、同社が開発を進める「ウーブン・シティ」建設や製造工場のグリーン化等の資金調達として、最大で総額約5000億円のサステナビリティボンドを発行すると発表した。日本企業の発行するESG債としては過去最大となる。同社はこれまでも米国市場でグリーンボンドを複数回発行しているが、日本市場での発行を含めるのは今回が初めて。

 

 トヨタは発行するESG債を「Woven Planet債(ウーブン・プラネット債)」と命名した。個人向けの円建て社債は期間5年で、発行額が最大1000億円、内外の投資家向けの円建て、外貨建てのサステナビリティボンドは期間5年と10年に分かれる。合計で最大4000億円としている。発行条件等は12日に決める。

 

 機関投資家向けの主幹事は、SMBC日興証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、みずほ証券、野村証券、大和証券の5社が、個人向けは5社に東海東京証券が加わる。

 

 

 ESG債の資金使途先は、トヨタがグループとして推進する「ウーブン・シティ」への投資資金を中心とする。同シティ構想は、ヒト中心の街づくりの実証プロジェクトで、自動運転、パーソナルモビリティ、ロボット、人工知能(AI)技術などの新技術を実証する場として、静岡県裾野市で建設が始まっている。https://www.woven-city.global/jpn

 

 「ウーブン:Woven」は「織り込む」の意味。トヨタはその由来を、創業者の豊田佐吉氏が自動織機を発明した時の原動力である「母親の仕事を楽にしたい」という想いと、創業の精神を継承し続ける点に置いている。自動運転やモビリティサービスの開発・実装を支えるために絶対に必要になる「道」を「織り込む」ことを意味する。

 

 個人向けの社債は、同シティでの各種実験の資金に使うほか、トヨタが取り組む持続可能な開発目標(SDGs)活動等に充当する。同社ではSDGs調達と位置付け、国際資本市場協会(ICMA)が示すサステナビリティボンドとは別の扱いとしている。

 

 一方の内外の機関投資家向けの社債は、ICMA基準に適合するサステナビリティボンドとして発行する。資金使途は、安全なモビリティ社会実現および高齢者身体障がい者等向け福祉車両(ウェルキャブ)開発製造等による交通弱者への移動機会の提供等の社会的事業・活動のほか、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)の開発・製造や、同社グループの工場・事業所等でのCO2排出量削減等に活用するとしている。

 

 トヨタはこれまで米国市場で、販売したハイブリッド車(HV)等のリース、ローンの債権を対象としたABS(資産担保証券)型等のグリーンボンドを2014年以降、5回発行しているほか、欧州市場でも1回発行している。グループではトヨタファイナンスが19年、20年と続けてグリーンボンドを発行している。ただ、トヨタ本体での国内市場での発行は初めてとなる。https://rief-jp.org/ct6/99194

 

 トヨタは「自動車業界が100年に一度の大変革の時代を迎えている中、トヨタはこの変革をチャンスと捉え、自動車をつくる会社からモビリティカンパニーへのモデルチェンジを進めていく。これまでもトヨタは、社会課題である安全と環境の問題を解決する取り組みに加え、未来のモビリティ社会の構築に向けた取り組みも進めてきた。このような取り組みに必要な資金を調達し、SDGsの取り組みを加速させるために『Woven Planet債』を発行する」とコメントしている。

https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/34860859.html?padid=ag478_from_pickup