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丸紅と関西電力が、秋田市で計画していた石炭火力発電所(USC)の建設断念を発表。「事業実現性の見通し困難に」。政府の2030年目標の設定で、USCの「不適合」明確化(RIEF)

2021-04-27 14:00:00

akitaキャプチャ

 

 丸紅と関西電力は27日、秋田市で計画していた石炭火力発電所の建設を断念すると発表した。同発電所は、経済産業省が推奨してきた超々臨界圧石炭火力発電(USC)で、2024年の稼働を目指していた。両社では建設断念の理由として「事業実現性を見通すことが困難になった」と説明している。政府が2030年の温室効果ガス排出量削減目標を46~50%(2013年度比)を国際公約としたことで、石炭火力発電は持続可能ではないと判断したことになる。

 

 USCの着工断念は、今月16日に、Jパワー(電源開発)が山口県宇部市で計画していたUSC方式の「西沖の山発電所」建設を断念したことに次ぐ。丸紅と関電の事業計画は、それぞれの子会社である丸紅クリーンパワーと、関電エネルギーソリューションが事業主体で、秋田港の港湾施設の中に建設を予定していた「秋田港発電所(仮称)」。http://rief-jp.org/new/83419

 

 2015年に計画を発表し、総事業費3000億円を投じて、USCを2基(出力は合計で130万kW)建設する計画だった。2019年には環境影響評価手続きも終えていた。しかし、政府が「脱炭素」方針への転換を明瞭にしたことにより、今後、稼働してもCO2削減等の追加対策が求められる公算が高いほか、金融機関からの資金調達も困難になるリスクが生じていた。両社はこうした環境の変化を踏まえ、現行計画の断念を打ち出したとみられる。

 

 今後、開発予定地をどうするかというかは検討中としているが、輸入木製チップを使ったバイオマス発電等への転換を検討する案が出ているという。しかし、輸入木製チップについても、輸入元の東南アジアや米国で生態系破壊問題が指摘されており、サステナブルな発電事業に転換できるかどうかは微妙だ。

 

 丸紅は2018年に石炭火力の新規開発から原則撤退方針を発表。今年3月には、2050年までの温室効果ガス排出量ネットゼロ目標を掲げるとともに、石炭火力発電の設備容量の半減目標を従来の2030年から5年前倒しして2025年に改定している。

http://www.kenes.jp/information/20210427-01.html

https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/electric/files/akitako/hohosyo_shinsasyo.pdf