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無利子・低利融資よりも投資を。石巻の事業主が切実な要望(FGW)

2011-04-24 23:42:48

先に、東日本大震災の復興・再生のために、増税や震災国債増発ではなく、環境債を軸にした機関投資家資金を活用する案を、日本経済新聞紙上で論じた。同記事を読まれた石巻市の被災者Kさんから、事業復旧のためには、「融資よりも投資を」という内容のメールがFGWに届いた。環境債活用の記事参照 http://financegreenwatch.org/jp/?p=1330

Kさんは石巻市内で飲食業を営んでいたが、震災と津波で壊滅的な被害を受けた。壊れた2つの店舗の復旧のための制度は、現状では借入しかなく、どのように再建しようか途方にくれていたという。太陽光発電設備を投資対象とする、という環境債の提案を踏まえて、「店舗・工場債」のようなものを実現してほしいと訴えている。

以下はKさんのメールの要約~~。被災地ではFさんと同じように、店や工場を失い、廃業に追い込まれそうな事業主がたくさんおり、解雇された失業者であふれている。中小企業庁のHPを見ても、出てくるのは低金利の緊急融資の話ばかり。融資を受けても、すでに借りている借入金の負担は重く、二の足を踏んでいる。先日地元選出の衆議院議員・安住淳さんに経営者向けの補助金創設の陳情を行ったが、うまくいっても1社500万程度が精一杯と思われ、とても足りない。

そこでKさんは、環境債からヒントを得たという。仮に自分たちが再建する店舗や、工場を投資商品化し、投資家を募るということならば、取り組めるかもしれない。2%程度の利回りなら、投資家の方にとっても悪くは無いのではないだろか?事業主は、発行した債券資金で、店舗や工場を作ってもらい、上ものの賃料として投資家に2%の家賃を支払う。Kさんの店の場合、再建に1店舗約5000万円かかり、2%だと年間100万円(月83,333円)なので、充分支払い可能という。

 被災者の自立と、投資家の資金運用、さらにはやたら税金を増やしたり、国債を発行するような安易なバラマキ対応を避けるためにも、地元の被災事業者の声を踏まえた対応が求められる。原発事故の処理が進まないことから、日本への不信感が世界で次第に高まっている。無能ぶりを露呈する政治と官僚たちに比べ、被災者の方々のほうが、冷静で、実践的な知恵と工夫を懸命になって発揮しようとしている。