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「化石燃料株は投資パフォーマンスを低下させる」 MSCIが過去5年のデータ分析で診断(FGW)

2015-04-13 01:13:29

シェールガス開発も投資パフォーマンスが低下
シェールガス開発も投資パフォーマンスが低下
シェールガス開発も投資パフォーマンスが低下


世界の株価指数として知られるMSCI(モルガンスタンレーキャピタルインデックス)は、過去5年の株価の変動を分析した結果、石油、ガス、石炭などの化石燃料関連株から投資を引き上げた投資家は、そうでない投資家に比べて、年1.2%、パフォーマンスが高かったとの評価結果を公表した。

英紙ガーディアンが報じたもので、それによると、2010年以降、化石燃料関連株から資金を引き揚げた投資家は、平均13%のリターンを得た。これに対して、化石燃料関連株を投資対象に組み込んだままの投資家は平均11.8%のリターンにとどまったという。

 

MSCIは世界中の6000以上の年金やヘッジファンドが株式の投資指標として活用していることで知られる。

 

年間リターンの差は、仮に5年前に1億ポンド(175億円)の資産を持つ機関投資家が化石燃料企業株への投資をやめていたら、運用益は700万ポンド(12億2500万円)増えた計算になる。化石燃料株を組み込んだ株のポートフォリオの2010年以降の成長率は62.2%で、化石燃料株を組み込まないポートフォリオの成長率の69.9%に比べて、顕著に低かった。

 

化石燃料株の上昇鈍化は、昨年6月に始まった石油価格の下落の影響もある。しかし、MSCIのデータによると、石油価格下落に先立つ2012,13年において、すでに化石燃料株を除外したインデックスは、そうでないインデックスよりもパフォーマンスが上回っていた。

これまで多くのファンドマネジャーはエネルギー株、化石燃料株を投資対象からはずすとパフォーマンスが低下すると指摘したきたが、MSCIの分析は、そうした「伝統的な投資手法」は根拠がないことを示したといえる。一方で、化石燃料企業の業務改善やCO2排出量削減を進めるには、株主になってエンゲージメント活動をするべきだ、との指摘もある。

 

化石燃料企業は、将来開発する長期保有資産(油田や鉱区などの採掘権)を抱えている。だが、地球温暖化規制が国際的にかかると、それらの保有資産を開発できなくなる可能性が出てくる。これまでは投資家にとって魅力的だった将来の開発権も、むしろ償却困難な不良資産扱いになるリスクが出ている。

 

http://www.theguardian.com/environment/2015/apr/10/fossil-fuel-free-funds-out-performed-conventional-ones-analysis-shows