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不動産の持続可能性ベンチマークの「GRESB」 グリーンボンド用の不動産ガイドライン公表(FGW) CBIと対抗(?)

2015-06-04 16:51:50

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欧州の主要な年金基金グループ等が開発した不動産会社や運用機関のサステナビリティ(持続可能性)配慮を測るベンチマークとして知られるGRESB(グローバル不動産サステナビリティ・ベンチマーク)は3日、グローバルなグリーンボンド原則(GBP)を補足する形で、グリーンボンドの不動産分野ガイドラインを公表した。

グリーン不動産の評価基準では、英国のClimate Bonds Initiative(CBI)も独自基準を公表しており、グリーンボンドに盛り込むグリーン不動産の評価認証競争の様相を呈してきた。

 

環境不動産(グリーン・ビルディング)の認証制度としては、米国のLEED、英国のBREEAM,そして日本のCASBEEなどがある。いずれも個々の不動産を対象として認証するものだが、GRESBは不動産会社や不動産運用機関等のベンチマークとして知られる。2014年12月時点で、世界で約50 社の投資家メンバー、約60社の不動産会社、運用機関メンバーが加盟している。日本からは日本政策投資銀行が投資家メンバーに、CSRデザイン環境投資顧問がアソシエイト・メンバーになっている。

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グリーンボンド原則(GBP)は昨年初めに米銀等が中心になって作成したグリーンボンド発行のためのミニマム基準に該当する。グリーンボンドの発行額は昨年が66億㌦、本年は1000億㌦に達するとみられている。市場急成長の背景には、地球温暖化に歯止めをかける事業が先進国・途上国の両方で拡大してきたことがあげられる。

現在のところ、GRESBのベンチマークを構成する主要企業のうち、5社がグリーンボンドを発行した経験を持つ。一般にグリーンボンドの投資対象には、主に太陽光発電などの再生可能エネルギー事業と、グリーンビルディングなどの省エネ事業があげられる。ボンドによっては再エネ、省エネ、両事業を対象資産とする債券もある。このため投資家からは、グリーン不動産の評価基準の統一を求められている。

 

公表されたガイドラインは、不動産分野での適格グリーン事業の項目を整理し、報告開示のフレームワークを示す形となっている。LEED やCASBEEなどの個別不動産ごとの環境評価制度による認証は、適格グリーン事業を選別する際に活用する。

 

GBPが分類する8つのグリーンカテゴリーについて、例えば再生可能エネルギーでは、グリーン不動産が使用する再生可能エネルギーの状況などの開示、建物の省エネ基準の採用状況、電気使用のピーク時対応の蓄電設備の有無、DRS(需要対応システム)などをあげている。

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またボンドが対象とする資産ベースの認証・評価に加えて、ボンド発行体の企業レベルのESG(環境、社会、ガバナンス)の政策や外部評価についても、考慮対象としてあげている。

 

GBPの運営を担うICMA(国債資本市場協会)の, Senior Director であるNicholas Pfaff氏は、「GBPはGRESBがまとめたガイドラインを歓迎する」とのコメントを出した。

https://gresb-public.s3.amazonaws.com/content/Green%20Bond%20Guidelines%20for%20the%20Real%20Estate%20Sector.pdf