HOME4.市場・運用 |米アップル社 人種・性別の多様化求める株主提案に対し、現取締役会が反対を表明。取締役はゴア元副大統領や主要企業経営者ら8人(RIEF) |

米アップル社 人種・性別の多様化求める株主提案に対し、現取締役会が反対を表明。取締役はゴア元副大統領や主要企業経営者ら8人(RIEF)

2016-01-18 18:16:22

Appleキャプチャ

 各紙の報道によると、米アップル社の取締役会は18日までに、取締役会や上級管理職に女性や非白人を増やよう求めた株主提案に反対を表明した、という。

 

 株主提案は、アップルをはじめとする米ハイテク大手企業では、白人男性が従業員の大多数を占めており、人種の多様性や男女機会均等などの視点から批判を集めている。このため、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は昨年、多様性を尊重し、人種や性別の多様化を進める方針を打ち出していた。

 

 こうした中で、今回の株主提案は、社内の人種・性別構成を変えさせための積極的な人材採用を会社の基本方針として定めることを求めていた。

 

 同社の取締役会は2月に開く株主総会を前にして、6日に株主に対して出された招集通知書の中で、この提案の扱いを「過度に負担が重く、必要性もない」として否決を勧告した。米CNNの報道によると、その中で「アップルは当社の価値観の中核である包括性と多様性に向け尽力する姿勢を示してきた」と述べているという。

 

 また、これまでもすでに、黒人が多く通う大学から人材を採用したり、コンピューター業界の女性支援団体をスポンサーするなど、自ら多様化を目指す取り組みを行っていると強調している。

 

 アップルの取締役は8人。元副大統領のAl Gore氏、ウォルトディズニーのCEOのRobert A. Iger氏、ブラックロック共同創設者のSusan L. Wagner氏、元ボーイング社のCFOのJames A. Bell氏、バイオベンチャーGenentechの元会長兼CEOのArthur D. Levinson氏、航空機のノーストップ・グラマン社の元会長兼CEOのRonald D. Sugar氏、非営利金融のGrameen AmericaのAndrea Jung氏、それにアップルCEOのTim Cook氏。

 

  このうち、黒人はBell氏一人。女性はWagner氏とJung氏。唯一の黒人であるBell氏は、財務の専門家。非営利金融の米グラミンバンクを運営するJung氏は中国系のアメリカ人でAvonの元会長兼CEOを務めたスーパーウーマンの一人。いずれも実力主義を実践してきた人材で、男女、人種の比率を重視する主張に同意しなかったとみられる。

 

 アップルの2015年版の多様性報告書によると、全従業員に占める男性の割合は69%、白人の割合は54%。経営上層部は男性が72%、白人が63%を占めている。

 

http://www.cnn.co.jp/tech/35076371.html?tag=top;subStory