HOME4.市場・運用 |デンマークの2015年の風力発電量 国全体の消費量の42.1%をまかなう。世界最高記録を更新。「風力で電力50%供給」という2020年の政府目標の達成十分可能に(RIEF) |

デンマークの2015年の風力発電量 国全体の消費量の42.1%をまかなう。世界最高記録を更新。「風力で電力50%供給」という2020年の政府目標の達成十分可能に(RIEF)

2016-01-25 17:23:47

Denmark1キャプチャ

 

 デンマークは2015年の年間電力消費量に占める風力発電の割合が42.1%となった。同国は2020年に風力で電力の半分をまかなう政府目標を立てているが、実現性が高まった。風力発電比率が4割を超える国は他にない。国有の送電事業者エナジーネット(Energinet.dk)は「世界記録」と胸を張っている。

 

  2014年の風力発電比率は、39.1%だった。15年の比率は、それをさらに3ポイント上回った。国際エネルギー機関(IEA)によると、ポルトガル24%、スペイン20.4%(いずれも2014年データ)で、デンマークの比率は、それらの風力発電比率の高い国に比べても、ほぼ倍のウエイトになる。

 

 特に大西洋からの風が安定的に吹く西部デンマーク地域では、地域全体での消費電力量よりも発電量が多く、昨年中で「ウィンド・サープラス(風力余剰)」を得た時間は年間で1460時間に及んだ。

 

 エナジーネット社の担当者は2015年に風力発電量が増えた理由として、風力発電の設備容量はやや増えたが、それよりも、「昨年は例年よりもはるかに風が強い年だった」と自然現象の影響が大きかったことをあげている。年間を通してみると、デンマーク国内の電力消費より風力発電の発電量が多かった時間が409時間に達した。

 Denmark2キャプチャ

 この間、Anholt とHorns Rev2の二つの洋上風力発電サイトがケーブルの不具合で、それぞれ1ヶ月と2ヶ月、操業を停止している。この二つの洋上風力が通常通りに発電していると、風力発電比率はさらに43.5%まで上がっていたとみられる。

 

 同国の風力発電電力購入のシステムでは、発電量が多い場合は、過剰供給を避けるため電力網から切り離しが義務付けられており、風力発電事業者はNagative Pricesを払う仕組みだ。 2015年は西デンマークで65時間分、東デンマークで36時間分のNegative pricesが発生した。

 

 デンマークは北欧諸国のほか近隣のドイツなどと電力網を相互接続しているので、「ウィンド・サープラス」が発生すると、余剰分は他の国に売電することが出来る。逆に、風が吹かない場合は、北欧のノルウェーなどの水力発電電力あるいはドイツの太陽光発電電力等を購入して均等化する。

過去10年間の風力発電比率。

2015 42,1%
2014: 39.1%
2013: 32.7%
2012: 30.0%
2011: 28.3%
2010: 22.0%
2009: 19.4%
2008: 19.3%
2007: 19.9%
2006: 17.0%
2005: 18.7%