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中国で走る電気自動車、「環境に優しい」のウソ(Reuters)

2016-01-29 22:45:25

ecocarキャプチャ

[北京 27日 ロイター] – 自動車メーカー各社は、中国のグリーンカー市場の急成長を予想するが、環境に優しいはずの電気自動車が逆に、大気汚染をさらに悪化させるとの懸念が広がっている。

 

  というのも、電気自動車を走らせるための電力のほとんどが、なお石炭による火力発電から作られているからだ。

 

 フォルクスワーゲン(VW)の中国責任者は、北京のグリーンカー会議で、向こう3─5年に15の新エネルギーモデルを投入する計画と表明。中国の電気自動車とプラグインハイブリッド車の生産は、2020年までに年200万台とほぼ6倍になると予想した。

 

 BYDの会長も、同じイベントで、同社の電気自動車販売台数は向こう3年にわたって、毎年倍増すると強調した。

 

 中国は、都市で深刻な問題になっている大気汚染の緩和に向け電気自動車の普及を推進している。会議に出席した財政相によると、電気自動車の販売は昨年4倍となり、中国は電気自動車の最大市場になった。

 

 中国国内では現在、乗用車全体に占める新エネルギー車の割合は、1%弱に過ぎないとされる。ただし、電気自動車は着実に増加しており、大気汚染の悪化に寄与する可能性もその分高まっている。

 

清華大学の研究によると、中国で充電される電気自動車はガソリン車の2─5倍の粒子状物質(PM)や化学物質を排出しているという。

 

 中国のデータバンク、能源与交通創新中心(エネルギー・交通イノベーションセンター)のディレクター、アン・フェン氏は「海外の事例でも、大気浄化を電気自動車に依存することが、必ずしも得策ではないことが分かっている。まず、発電所のクリーン化が必要だ」と述べた。

 

<まずやるべきは発電所のクリーン化>

 

 中国は、炭素排出量の削減目標達成に向け、再生可能エネルギーや「クリーン石炭」を使った発電への移行を進める方針を示している。

 

清華大学のフオ・ホン環境科学教授は、発電所のクリーン化が進めば、電気自動車は大気汚染の改善に貢献できるようになる、と指摘するが、同時に、その目標の「達成は非常に困難」との見方を示している。

 

清華大の研究は、発電所の改革が加速しないかぎり、中国の多くの都市において少なくとも10年間は大気汚染改善に貢献しない電気自動車を、政府が積極的に推進することの正当性に疑問を投げかけている。

http://jp.reuters.com/article/china-pollution-autos-idJPKCN0V60K3?pageNumber=1