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日本最大のメガソーラー開発事業 生態系との両立を目指し、自然復元の「ハビタット」完成。自然景観の保全と猛禽類の餌場確保(RIEF)

2016-02-03 18:21:06

kuniumi1キャプチャ

 

 岡山県瀬戸内市の塩田跡地で進められている日本最大のメガソーラー事業で、自然環境の保全と、メガソーラー発電との両立を図るために、自然環境を復元した「ハビタット」が完成した。

 

 開発が進められているのは、瀬戸内市錦海塩田跡地。約500haの跡地のほぼ半分(約265ha)を利用して、発電容量239MWの日本最大規模のメガソーラーを建設する。くにうみアセットマネジメント、GEエナジー・フィナンシャルサービス、東洋エンジニアリング、中電工の4社が出資する特別目的会社(SPC)の「瀬戸内Kirei未来創り合同会社」が事業主体となり、2019年春の発電開始を目指している。

 

 開発地の錦海塩田跡地は、1971年に塩田事業が廃止された後、40年以上にわたって放置されていた。その間に雨水と海水の混じり合う塩性湿地・ヨシ原・水路・クリーク(小川)・ヤナギ林などの混在する多彩な生態系環境が形成されてきた。

 

 跡地の所有者である瀬戸内市はメガソーラー事業計画に当たって、事業者らと施行協定および土地賃貸借契約を締結、再生可能エネルギーの普及だけでなく、地域の発展、安全安心、自然との共生を条件としてきた。そこで事業側は、同地の生態系を極力維持するために、塩性湿地帯のうち約16ha分を「錦海ハビタット」として人工的に整備した。

 

endenキャプチャ

 

 事業者らは2012年に瀬戸内市から受託して「錦海塩田跡地活用基本計画」を策定、それに沿って事業者の一社である東洋エンジニアリングが、生き物にとって健全な生態系を維持するデザイン手法である「エコロジカル・ランドスケープ」の手法を駆使し、環境対策の一環として計画・実施した。

 

 整備された「ハビタット」では、自然景観を保全するとともに、同地を餌場としてきた希少な猛禽類を保護するために、ヨシ原の水辺環境を残しながら既存の樹林やクリークを活用して猛禽類が狩を継続できるような自然環境を人工的に保全した。クリークの水深には変化をつけて複雑に入り組ませることで多様な魚類の生息地を確保、また自生植物を利用した植栽を施し、ねずみなどの小動物が生息しやすい環境を整えた。

 

 同ハビタットの整備は、自然環境のデザイン手法であるエコロジカル・ランドスケープに基づいて実施した。同手法は、地域環境の潜在能力を活用して、その地域特有の自然環境を保全・創り出すことで、人を含めた生物にとっての健全な生態系を維持するデザイン手法をいう。

 

 エコロジカル・ランドスケープは①地域環境の潜在能力を見極める②人が手を付けてよいところといけないところを正しく認識する③人が1/2をつくり、残りの1/2を自然環境に作ってもらう――ことを原則としている。

 

http://www.kuniumi-am.co.jp/site/file/tmp-F8E3T.pdf