HOME4.市場・運用 |家庭の屋根に無償で太陽光発電設備を設置 「じぶん電力」を販売へ。再エネ電力を使いたい家庭や事業所に照準。設備費負担も解消。日本エコシステムが販売開始(RIEF) |

家庭の屋根に無償で太陽光発電設備を設置 「じぶん電力」を販売へ。再エネ電力を使いたい家庭や事業所に照準。設備費負担も解消。日本エコシステムが販売開始(RIEF)

2016-03-22 18:31:51

jibundenryokuキャプチャ

 

  太陽光発電事業の日本エコシステムは、4月からの小売電力全面自由化に合わせ、電力を購入する顧客の自宅屋根に「無償」で太陽光発電設備を設置し、その発電した電力を自宅で使用できる「じぶん電力」の販売を始めた。

 

 家庭向けの太陽光発電設備は100万円以上はかかる導入費用がさらなる普及のネックになっている。日本エコシステムの「じぶん電力」は、太陽光発電設備の導入費用はすべて同社が負担し、初期投資ゼロで自宅屋根に太陽光発電設備を導入できる。

 

 屋根に設置した発電設備と、発電した電力の所有権は日本エコシステムが持つ。顧客側は同社に使用電力量に応じた料金を払うことで、自宅の屋根で発電した電力を自宅で利用できる。ただ、太陽光発電は夜間や天気の悪い日には発電できない。こうした時間帯は同社が契約する新電力最大手のエネットから調達した電力を、同社を通じて買い入れ補うという。

 

 つまり「じぶん電力」の顧客は、時間帯に応じて「太陽光発電分」とエネットの電力を利用した「供給分」の2つの電力を購入するわけだ。料金体系はそれぞれで異なるが、いずれもたとえば東京電力の従来の電力料金より安く設定されている。また屋根で作り出された電力は、停電時などの非常時には無料で利用できるという。

jibunキャプチャ

 自宅に取り付けた太陽光設備の管理・制御は、NTTスマイルエナジーが提供する「エコめがね」サービスで、24時間365日にわたって発電状況をモニタリングする。 契約期間は20年間で、その間の設備の定期メンテナンスなどは全て日本エコシステム側が負い、顧客側はこの費用も無料となる。

 

 契約期間の20年間が経過すると設置した太陽光発電設備は顧客に無償で譲渡されるという。20年を経過しても、通常の場合、発電能力は継続するので、この点も顧客側には魅力だ。ただし途中解約の場合は、契約経過期間に応じた価格で顧客側が設備を買い取ることになる。

 

 日本エコシステム の白髭博司社長は、「じぶん電力」について「われわれはこれまで全国で住宅向けを中心に約3万6000件の太陽光発電設備を販売・施工してきた。こうしたノウハウを活用し、住宅に太陽光発電を導入したいが、初期費用の高さで断念する人を一人でも減らすため今回の仕組みを考えた。O2排出量削減の点でも意義のある取り組みだと思う」と語っっている。

 

 「じぶん電力」の提供エリアは、北海道、青森県、秋田県、岩手県、山形県、新潟県、富山県、石川県、福井県、沖縄県を除く地域を対象としている。設定する電気料金は地域によって異なるが、「現在の電力会社が提供している料金プランより、標準的な家庭で平均数%安くする」としている。

 

 料金の安さもさることながら、自宅で再エネ発電した自前の電力を、自分で使いたいというエコ意識の高い消費者に歓迎されそうだ。電力会社の電源の構成状況などを調べなくとも、自宅で発電した電力なのでクリーン度は確かだ。ある意味で家庭菜園のような「家庭電力」という点が魅力になりそうだ。

 

 日本エコシステム側は顧客からの毎月の電気料金のほか、日中などに太陽光発電で発電する電力量が、当該住宅の電力使用量を上回る場合、余剰電力を10年間にわたりFIT制度で売電収入を得ることができる。

 

 同社では、今後2年間で1万棟、5年後に10万棟の導入を目指す計画を立てている。また、低圧配線を利用する幼稚園などの小規模な法人施設にも販売を展開する方針という。

 

 資源エネルギー庁によると、家庭用太陽光発電設備の導入余地のある既築住宅は全国で1200万戸。このうち設置は12.1%の170万戸にとどまる。固定買取価格制度(FIT)でメガソーラーなどの産業用太陽光発電設備は急拡大したが、10kW未満の家庭向け設備の普及は伸び悩んでいるのが実態だ。

 

 日本エコシステムは情報通信建設会社の日本コムシスのグループ会社で、1997年に設立。太陽光発電システムの販売施工の他、蓄電池やオール電化家電の販売などのエネルギーシステム事業を展開している。