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四国電力 伊方原発1号機の廃炉決定。安全対策投資の増加に見合わず。「経済的判断」を強調。他の老朽原発も安全性と経済性のバランスが問われる(各紙)

2016-03-25 11:57:52

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 四国電力(高松市)は25日、来年9月で運転開始から40年を迎える伊方原発1号機(愛媛県伊方町)の再稼働を断念し廃炉にすることを決定し、佐伯勇人社長が同日、中村時広愛媛県知事に報告した。

 

 四電は廃炉の理由として、安全対策工事に巨額を投じても採算が取れないと判断した。25日午前の取締役会で決議した。佐伯社長は「わが社は株式会社なので採算のとれない事業は続けられない」と述べた。

 


 東京電力福島第一原発事故後に改正された原子炉等規制法では、原発の運転期間は原則40年に制限されている。原子力規制委員会が認可した場合のみ最長20年、運転延長できる。

 

 ただ、その場合も多額の安全対策投資が必要で、伊方原発1号機の場合、2000億円規模とみられていた。今回はそうした投資に見合う収益が得られないと判断した。

 

 1号機は2011年9月の定期検査で停止していた。1号機は1977年に運転を開始し、来年、40年の運転期限を迎える予定だった。発電容量56万6千kW。

 

 

 国内の老朽原発については、昨春、関西電力美浜原発1、2号機(福井県)や中国電力島根原発1号機(島根県)など5基が運転開始から40年を経過したことなどから廃炉となっている。

 

 伊方原発の3号機は運転開始から21年と期限に余裕があることから昨年夏、規制委の安全審査に合格した。25日に使用前検査を申請し、7月の再稼働を目指す。四国電は1号機も再稼働の検討を進めたが、最終的に費用対効果を見極めて廃炉を決めた。

 

 伊方1号機と同様に運転開始から40年前後の関電高浜原発1、2号機(福井県)などは運転を延長するため、規制委に審査を申請した。関電美浜3号機は審査を申請したが安全対策費が当初計画から大幅に膨らむ見通しになり、廃炉の可能性が出ている。

 

 四国電が伊方1号機の廃炉を決めたことで、対応を決めかねている原発の判断に影響を及ぼす可能性もある。