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原子力規制委員会 福島第一原発の地下水防止策の「凍土壁」の使用を認める。東電は、明日にも凍結開始へ(各紙)

2016-03-30 19:16:08

fukushimatoudoキャプチャ

 

 各紙の報道によると、原子力委員会は30日、東京電力が福島第一原子力発電所の汚染水対策で原発建屋全体を取り囲む「凍土壁」の凍結を認めることを決めた。委員会の決定を受け、東電は31日にも凍結を開始する。国費345億円が投じられる。

 

 規制委は同日開いた定例会合で凍結開始を認めた。凍土壁は事故を起こした福島第一原発の1~4号機の周囲の地盤をそれぞれ囲むように凍結用のパイプを張り巡らせる仕組み。全長1.5kmにわたって土壌を凍らせて、氷の壁で地下水の建屋への流入を遮断する計画だ。

 

 東電の計画に対して、規制委はこれまで、地下水位が下がり過ぎると、建屋地下にたまる高濃度汚染水の水位の方が高くなり、外部に漏れ出す恐れがあるとして懸念を示していた。そのため、地下水位を確実にコントロールできることの確認を求めていた。

 

 東電の見直し計画では、まず海側の建屋周囲690mの部分と北側部分とを優先して凍結を開始する。一カ月ほどかけて壁の状況を見極め、問題がなければ、次に、建屋山側の860m部分を段階的凍結する。ただ、一部は凍結させずに残す。

 

 建屋への地下水の流れや水位の変化を確認し、規制委が懸念する地下水位の低下が行過ぎないかどうかを確認する。仮に水位が8割以上下がる場合は、凍結を一部停止して、水位を確保するなどの措置をとる予定。水位に影響がない場合は、山側に残した一部も含めて、完全に凍らせて、地下水流入を遮断する。

 

 規制委は東電の計画を認めたものの、建屋からの汚染水漏えいリスクを重視。水位管理ができ、漏えいリスクがないと確認できない限り、全面凍結を認めない方針を維持している。

 

 汚染水の発生源となる地下水の建屋への流入量は現在、1日当たり150~200㌧。東電によると、山側の一部を凍結せずに残しても、凍土壁により地下水の流入量は半減する。壁がすべて完成すれば、最終的に流入量は50㌧程度に減るとみている。

 

 凍土壁の設置はこれまで300億円以上の国費が投じられてきた。当初から凍土壁という手法への疑問が各方面から出てきた。通常は、鋼管のくいを並べる「鋼管矢板」などの工法をとることが多い。経費的にも安く、技術的にも実績のある手法をとらずに、例のない手法凍土壁をなぜ採らないのかなど外部から疑問が出ていた。

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