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東京都 再エネ電力の売電事業に進出へ。7月にモデル事業開始。将来は小売参入も。自治体発電先導企業の福岡県「みやまスマートエネルギー」等の地域の再エネ電力事業者と連携(RIEF)

2016-04-08 17:17:37

tokyodenryoku2キャプチャ

 

 東京都は外郭団体の東京都環境公社と共同で、再生可能エネルギー発電を売電する新電力事業に参入すると発表した。7月から太陽光発電とバイオマス発電で発電した電力を、自前の公社施設に供給するとともに、将来は小売事業への参入も検討するという。

 

 公社は電力販売主体となるため特定規模電気事業者(PPS)としての認可を受ける。まずは、スマートエネルギー都市実現に向けた電力供給のモデル事業を開始する。固定価格買取制度(FIT)を使って太陽光発電などの環境にプラス効果のある電力を調達、公社の関連施設へ供給するとともに、需給調整等のノウハウの蓄積を進める。

 

 公社が調達する電力は、太陽光発電については、調布市の「調布まちなま発電電力」(発電容量272kW)、バイオマス発電は、宮城県気仙沼市の「気仙沼地域エネルギー開発会社」(発電容量738kW)と、それぞれ契約を結ぶ。

 

 調布まちなか発電は、調布市と協定を結んで、市の公共施設(保育園、図書館、劇場など)の屋根借り発電を展開している。一方の気仙沼エネルギーは、地域の林業育成のため間伐材を通常価格の倍で購入し、その半額分を地域通貨で支払う仕組みをとっている。ともに、地域の資源と地域の智恵、協力によって、電力を生み出している。

 

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 公社による電力の供給先は、東京都環境科学研究所と、水素情報館「東京スイソミル」。ともに江東区にある施設だ。このモデル事業で成果があがれば、供給施設を拡大するとともに、将来には都民に向けて環境に優しい「再エネ電力」を売電することも検討する。

 

 電力会社の設立やモデル事業の中心となる需給管理のノウハウなどについては、自治体による電力会社として先行している福岡県みやま市の「みやまスマートエネルギー」が都に協力する。同社は昨年2月に全国初の自治体による地域新電力会社として設立され、11月から電力供給を開始している。

 

 都は今回始めるモデル事業で購入する電気で余剰分が生じる場合は、みやま市に融通する方針。みやま市は「みやまスマートエネルギー」の電力などを購入し、電源の5割を太陽光でまかなっている。しかし、太陽光は日照で出力が左右されることから、都との連携で調達源の多様化を図ることが可能になる。

 

 自治体が電力事業に乗り出す事例としては、みやま市のほか、浜松市や鳥取市などでも、自治体出資の地域新電力が設立されている。東京都が本格的に電力事業に踏み出すことは、従来の大規模発電の仕組みから、地域立脚・地産地消費型の電力供給を拡大するきっかけになる期待もある。

 

http://www.tokyo-co2down.jp/action/fit-2/