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世界の再エネ発電導入 昨年は過去最高の152GW。原発2000基分。アジアに過半の新規設備集中。国際再エネ機関IRENAが報告(RIEF)

2016-04-13 12:30:51

IRENAキャプチャ

 

 IRENA(国際再生可能エネルギー機関、International Renewable Energy Agency)は、2015年中に、世界の再生可能エネルギー発電の導入量が152GW(1億5200万kW)、前年比8.3%増と過去最高の増加を示した、と公表した。

 

 IRENAは世界の146カ国(現在)が加盟する国際機関で、本部はUAEのアブダビにある。

 

 報告によると2015年末時点で、世界の再エネ発電量は1985GW(19億8500万kW)に達した。これは、原発2000基分(1基の発電量を1GW=100万kWと換算)に匹敵する。再エネ発電量の増加の背景には、年間で2860億㌦の投資資金が同分野に流入したことが大きい。

 

 再エネの種類別では、風力発電は前年比17%増の63GW増えた。風力増加の多くは陸上風力のタービン価格の低下が大きい。タービン価格は2010年に比べると45%減少しているという。このうち陸上風力は59.5GWで、洋上風力は3.4GW。陸上風力では中国が全体の過半以上の30GWを占めた。洋上風力ではドイツが2.3GWと大半を占めた。

 

IRENA2キャプチャ

 

 太陽光発電は前年比26%増の47GW増えた。太陽光の場合も、設備価格の下落が増加要因となっている。同期間で太陽光モデュール価格は80%も下がっている。地域別ではアジア全体で28.3GWと6割を占める。そのうち中国が15GWで最も多い。固定価格買取制度(FIT)の影響で、日本の新規導入も10GWとなっている。

 

 水力発電は3%増の35GW増えた。バイオエネルギーと地熱発電はそれぞれ5%増で、5GW、1GWの増加となった。

 

 累積の設備容量では水力(大規模を含む)が全体の61%で依然として多い。次いで風力が22%、太陽光が11%。、2015年に導入された再エネ発電の比率では7割以上が風力と太陽光になっている。過去5年間の間に累積量の3分の1が増えており、各国の再エネ導入政策の成果が実っているといえる。

 

 また、風力や太陽光発電の設備の低下が顕著であることも、再エネ事業の採算性を高めている。IRENAは陸上風力発電のコストは、化石燃料を使う火力発電等のコストよりも低い水準になってきた、と指摘している。洋上風力のコストも次第に火力発電に近づいている。

 

 太陽光発電も、最も安いケースでは火力発電と同等の水準という。このほかにバイオマスと地熱の発電コストも低下している。再エネの中で、風力と太陽光の増加が顕著なのは、政策支援、設備費の低下、それに加えて、大規模な設備を導入しやすい点も事業拡大に影響しているとみられる。

 

 地域別では、2015年に新規に立ち上がった再エネ事業の58%がアジアに集中した。伸び率は12.4%増。累積ではは796GWに達した。2015年の伸び率では中米とカリブ諸国での導入が14.5%増と最も高かった。先進国でも、引き続き増加基調が続いている。欧州は5.2%増の24GW増、北米は6.3%増の20GW増と着実に伸びている。

 

http://www.irena.org/News/Description.aspx?NType=A&mnu=cat&PriMenuID=16&CatID=84&News_ID=1446