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世界最大の石炭業者 米ピーボディ・エナジ―社が連邦破産法11条申請。流動性回復させて再生目指す(RIEF)

2016-04-16 00:21:18

peobodyキャプチャ

 

 各紙の報道によると、世界最大の石炭事業者である米ピーボディ・エナジーは、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用をセントルイスの連邦破産裁判所に申請した。中国の需要減で石炭価格をはじめ商品相場が急落したことが引き金となった。

 

 米国内の天然ガスへのエネルギーシフトや、オバマ政権が推進しているクリーン・パワー・プラン(CPP)による石炭火力発電所規制案などの環境規制の強化などの構造的な課題も重なり、将来の業績回復のめどが難しい状況となっている。

 

 主要な石炭価格は、2011年のピークからすでに75%の下落をみせている。ピーボディもこうした石炭価格下落の影響を直接受けた。2015年12月期最終損益は20億㌦(約2200億円)の赤字。4期連続の最終赤字で破綻申請の前日(12日)の株価は2.07㌦と08年高値(約1330㌦)から急落していた。

 

 ピーボディの破産法申請は、広義の商品セクター企業の経営破たんとしては、最大級の一つとなった。同社のCEOのGlenn Kellow氏は「困難な決断だった。しかし、これはピーボディにとって再生に向けた正しい道となるだろう」と述べている。

 

 ピーボディの経営悪化が急速に進んだのは、5年前にアルセロール・ミタルとともに、オーストラリアの独立系石炭会社マッカーサーを買収したことがきっかけだ。買収資金を多額の借入資金に頼った一方で、需要は中国経済の減速等で、財務内容が次第に悪化していった。

 

 加えて、米国市場ではシェールガス・油ブームによって、米国内で天然ガスの生産が急増し、石炭から天然ガスへのシフトが進んだことも影響している。

 

 昨年の米国内での石炭生産量は1980年代半ばの水準まで落ち込んでいる。内外の景気の鈍化も相まって、3月の米平均石炭価格は1㌧55㌦台と4年前の約半分にまで下落していた。

 

 同社は1883年にフランシス・ピーボディが創業した米国の伝統的エネルギー大手。8000人の従業員を世界25か国で雇用している。数年前までは、保有資産等の評価で2000億㌦近い企業価値評価を受けていたが、最近は激減している。

 

 シンガポールベースの信用アナリストのSandora Chow氏は、「エネルギー相場の回復は、かなり先を待たないと見えてこない」としている。また気候変動絡みで米国内だけでなく、各地で投資家によるDivestment運動が続いているほか、環境NGOの石炭火力反対運動もアジアを中心に展開している。

 

http://peabodyenergy.investorroom.com/2016-04-14-Peabody-Energy-Announces-Court-Approval-Of-First-Day-Motions-Allowing-Business-Operations-To-Proceed-In-Ordinary-Course