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「温州ミカンの産地」和歌山・田辺地方。昨年度の収穫量は10年間の「表年」として最少。温暖化による暖冬、多雨が影響(紀伊新報)

2016-04-20 18:04:15

mikanキャプチャ

 

 和歌山県の田辺地方で生産される温州ミカンの2015年度収穫量は9851トンで、豊作傾向となる「表年」としては過去10年間で最少だったことがJA紀南営農指導課のまとめで分かった。暖冬や多雨が影響したとみられ、販売も低調だった。

 ミカンの作柄は1年ごとに「表年」と不作傾向になる「裏年」に分かれる。15年度は「表年」で、過去10年間を「表年」だけでみると、最少だった11年度の1万669トンを818トン下回り、最多だった06年の約6割にとどまった。「裏年」も含めた比較では、14年度の1万38トンを下回り、10年度の9030トン、06年度の9121トンに次いで、少ない方から3番目だった。



 種類別では日南や上野など極早生が3428トン、宮川など早生が6385トン、普通(中生)が38トン。そのうち主力の早生は同じ「表年」の13年度より約15%減り、「裏年」だった14年度も下回った。


 営農指導課によると、減収の原因は冬場に気温が高く、雨が続いたことで腐る実が多かったからだという。気象ロボットデータでは上秋津の平均気温は昨年11月が16度(14年14・6度)、12月が11・1度(同7・5度)だった。腐るのとは別に、皮が浮いたようになる「浮き皮」の現象もあり、ジュース加工用として出荷する実も多かったという。



 不作が影響し、JA紀南を通じて販売した温州ミカンの量は5009トンで、14年度の5469トンを下回った。しかし1キロ当たりの平均価格は219円で14年度よりも31円高く、総額は10億9495万円で6936万円増えた。JA紀南販売部によると「表年」だが、全国的に不作だったために高くなったという。


 JA紀南みかん部会長の小谷真一さん(46)=田辺市稲成町=は「農家全体に被害は大きかった。これを教訓に今後、天候被害を減らせるよう対策をしていければと思う」と話した。



 JA紀南管内で温州ミカンを栽培するのは田辺市や上富田町、白浜町の農家約1100戸。戸数は年々減少している。それに加えて他の作物に転換することで、温州ミカンの栽培面積はさらに減少傾向にある。収穫量減少はそれらも影響しているとみられる。

 

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