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家庭用太陽光発電のコスト わが国でも「グリッドパリティー」を達成。自然エネルギー財団研究員が試算(各紙)

2016-04-27 14:11:59

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  各紙の報道によると、自然エネルギー財団(東京)の木村啓二上級研究員が、わが国の家庭用太陽光発電で作る電力の発電コストが、電力会社の電力料金と同等となる「グリッド・パリティー」に到達した可能性が高いとの試算をまとめた。

 

 日刊工業新聞が報道した。グリッドパリティーとは、1kW時の電力を作る発電コストが、電力会社の電力料金と同等となる水準を表す。このことは計算上は、電力会社から既存の電力を購入するよりも、太陽光発電の電力を使うほうが経済的に合理的ということになる。

木村啓二氏
木村啓二氏

 

 木村氏の試算では、2014年7―9月に家庭用太陽光発電の発電コストが1kw時当たり26.29円となり、電力料金の全国平均と並ぶグリッドパリティーを達成したとしている。さらに同10―12月には25.28円に下がり、初めて電力料金を下回った。

 

 地域別では、東京電力管内は13年7―9月にグリッドパリティーに達し、中部電力管内は15年10―12月の太陽光が21―22円台と安いが、電力も値下がりしており同水準となっている。関西電力管内は同期間の太陽光が電力料金よりも4―5円安い。

 

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 太陽光発電の経済合理性が向上しているのは、2010年に比べると、システムの購入や設置、維持にかかるコストが40%%近く下がっていることが大きい。2012年からの固定価格買い取り制度(FIT)によって、内外の事業者が日本の太陽光発電市場に参入、競争を刺激し、価格低下を後押しした形た。

 

 ただ、木村氏は自らの試算について「(グリッド・パリティーの)概念が難しく、参考指標にするべきだ」と慎重な姿勢をとっている。グリッドパリティーの達成は家庭用太陽光発電システムのコスト低減を反映しており、より購入しやすくなったことは間違いない。

 

 政府の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2013年時点で太陽光発電コストを23円と試算しているが、グリッドパリティーには未達とした。13年以降のコスト低下を反映すると、NEDOの試算でも現時点ではグリーッドパリティーを達成している可能性もある。

 

 日刊工業新聞は独自のグリッドパリティー算出方法を示し、公開している。発電コストは、FITで20年間使う場合の太陽光発電の総コストを総発電量で割って求める。

総コストは、経済産業省がFITの買い取り価格などを決めるため設置している「調達価格等算定委員会」の公開数値、総発電量はNEDOの日射量データで計算し、出力が年率0.5%低下する条件を加えた。

「割引率」には10年国債新規発行流通利回り、住宅ローン利率とする。

電力料金の全国平均は、家庭が契約する電灯料金収入を需要で割って、1kW時当たりの単価を算出。再エネによるFITで上乗せされている賦課金も含める。

https://www.nikkan.co.jp/gnr_spaces/view/0002399