JR東日本。地域の拠点駅に、再エネ利用の水素発電設備を整備。災害時の緊急電力確保へ。帰宅困難者の一時避難にも(RIEF)
2016-05-06 11:27:18
JR東日本は駅に再生可能エネルギー利用の水素発電設備を設置し、災害などの非常時の電力供給に活用するシステムの整備を始めた。第一弾として首都圏南武線の武蔵溝ノ口駅(川崎市)に太陽光を利用した水素発電システムを導入する。
JR東日本の保有する各駅で、災害時でも稼働できる自家発電システムを備えるのは大規模なターミナル駅のみ。その他の多くの駅は、停電時にJR東の発電所からの電力の供給に頼る形だ。
しかし、東日本大震災等での経験で、多くの帰宅困難者が発生。ターミナル駅だけが稼働しても鉄道全体の復旧にはつながりにくいほか、駅を帰宅困難者の一時避難場所にすべきとの指摘も出ている。こうしたことからJR東では、各駅の自家発電力を強化する方針だ。
モデル事業となる武蔵溝ノ口駅では、駅屋上に約200㎡の太陽光パネルを設置する。発電した電気を水電解装置に通すことで水素を取り出し、水素貯蔵タンクで貯蔵する。
駅のホームに幅6mの箱状の装置を3つ設置し、その中に水電解装置と水素貯蔵タンクを格納する。発電量が常に表示される液晶パネルもホームに設置、乗降客が見ることができる。
発電した電力は通常は駅舎の一部で使われるが、 大規模災害時に電力などのライフラインが寸断された場合、蓄電した電力を使って駅構内のホームや通路、トイレなどの照明を維持する。水素は放電しない性質があるため、安定して約3.5kW分の蓄電が可能という。
また給水タンクと組み合わせると温水の供給もできる。また駅を一時避難場所として利用する場合、約2日分の電力をまかなえるという。2017年春に完成予定。
同事業は川崎市も重視し、「川崎水素戦略」のリーディングプロジェクトと位置付けている。同市は水素導入でCO2削減を推進する考え。武蔵溝ノ口駅の場合、自立型水素供給システム導入や、LED切り替え等によって、CO2排出量を20%以上削減できるという。
JR東は武蔵溝ノ口駅での実績を踏まえ、他の駅への拡大も検討する、としている。ただ、武蔵溝ノ口駅の場合、ホームに発電システムが設置できるスペースがあるが、駅によってはスペースが限られるところが少なくない。
スペースの狭い駅の場合、自治体等の協力等で、近くの公共施設を活用するなどの地域との連携が必要になってくる。
http://www.city.kawasaki.jp/templates/press/cmsfiles/contents/0000075/75802/160324release.pdf