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武田薬品工業。途上国の子ども向けのポリオワクチン開発・製造で、ビル&メリンダ・ゲイツ財団と連携。3800万㌦の助成金で、年間5000万本製造へ(RIEF)

2016-05-09 23:22:28

takedaキャプチャ

 

 武田薬品工業は、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が設立したビル&メリンダ・ゲイツ財団からの資金助成を得て、安全性の高いポリオワクチンの開発・製造を推進する。途上国の子供たちのために年間5千万本の供給体制を築く。

 

 ゲイツ財団は、2000年の創設以来、「全ての生命の価値は等しい」との信念で国際開発プログラム、グローバルヘルスプログラム、米国プログラムの3つのプログラムを展開している。ポリオ根絶の活動は、このうちのグローバルヘルスプログラムの一つ。

 

 これまでも、2011年8月に日本政府との官民パートナーシップで、パキスタンでのポリオ根絶支援に約50億円を提供している。今回は、武田薬品工業と直接連携し、ワクチン製造の基盤技術を強化、安全性が高いセービン株不活化ポリオワクチンを開発・製造する。その資金として、武田側に3800万㌦を提供する。

 

 武田では山口県光市の工場で、年間、少なくとも5千万本のワクチンを製造し、70以上の途上国へ供給する計画だ。製造したワクチンは、Gavi(Global Alliance for Vaccine and Immunization:ワクチンと予防接種のための世界同盟)の援助を受けている途上国に対し、入手可能な価格で供給される。

 

 ゲイツ財団と武田の連携は、昨年9月に国連で採択されたSustainable Development Goals(SDGs:持続可能な開発目標)に沿っている。また武田自身、世界の保健医療アクセス課題の戦略的解決を掲げており、今回の連携は、その趣旨にも沿う活動だ。

 

 武田の代表取締役社長CEOのChristophe Weber氏は、「ゲイツ財団との事業提携を通じてポリオ根絶に貢献できることを大変嬉しく思う。この取り組みにより、世界中の発展途上国の子供たちの健康に対して、日本企業による真摯な決意を示すことができる」と述べている。

 

 ゲイツ財団のGlobal Development PresidentのChris Elias氏は、「2016年、世界はポリオ根絶を目前にしている。ポリオ根絶のためには、すべての子供たちを感染から防ぐ必要がある。今回の事業提携は、世界がポリオ根絶に十分なワクチンを手に入れ、ポリオのない世界が維持されることを支援するもの」と語っている。




 ポリオ(急性灰白髄炎)は障害が残り、死に至る可能性もある感染症。根治させる治療法はないが、ワクチンを接種することで感染を予防できる。年齢に関係なく感染するが、主に感染の影響を受けるのは5歳以下の小児とされる。

 

http://www.takeda.co.jp/news/2016/20160509_7399.html