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米共和党大統領候補指名確実のドナルド・トランプ氏、石油・石炭などエネルギー業界支援へ オバマ政権の環境政策の一部撤回の意向。「パリ協定批准」も撤回へ(各紙)

2016-05-27 12:47:54

Trump1キャプチャ

 

 -米大統領選の共和党候補指名を確実にした不動産王のドナルド・トランプ氏は26日、ノースダコタ州のビスマークで演説し、自身が大統領に選出された場合、就任から100日以内に、オバマ政権が推進してきた環境政策を見直し、パリ協定への賛同も撤回すると述べた。

 

 トランプ氏が完工・エネルギー政策の詳細を演説したのは今回が初めて。

 

 トランプ氏は、オバマ政権が地球温暖化対策のために石炭火力発電等に対して温室効果ガスの排出規制の強化を推進してきたことを、「オバマ政権の政策で多くの失業を生み出している」と指摘、就任後の「100日行動計画」において、オバマ政権の温暖化対策とともに、水質浄化政策等を「過剰規制」として見直す意向を強調した。

 

 また、合理的な環境への懸念には適切に対処するとしつつも、「時代遅れかつ不要で、労働者に不利益となり、国益に反するいかなる規制も完全に破棄される」と語った。そして「すべての将来の規制は、一つの簡単なテストで測られるだろう。それは、その規制は米国の労働者にとっていいかどうか、という視点だ」と述べた。

 

 ノースダコタ州の州都ビスマークは石油産業の中心地。演説の場も「 Williston Basin Petroleum Conference」という石油団体の会合の場で、7000人の支持者やエネルギー関係者が詰め掛けた。同氏は米国で衰退しつつある石油・石炭産業を支援する姿勢を強調した。

 

 特に、オバマ政権が見送ったカナダからテキサス州に原油を運ぶ「キーストーンXLパイプライン」建設計画について、カナダのオイルサンドをパイプラインで米石油精製産業につなぐ構想は、「米国人にとって重要な利益をもたらす」と延べ、事業主体のTransCanada Corpに計画の再提出を要請すると述べた。

 

 TrasnsCanadaはオバマ政権がキーストンXLパイプラインの建設を拒否したことは、北米自由貿易協定(NAFTA)に違反するとして、これまでの建設工事にかかった150億㌦の賠償を求める姿勢を示している。

 

 米国のエネルギー安全政策に触れ、民主党の候補指名を争っているヒラリー・クリントン氏について、ヒラリー氏が国務長官時代にとった中東政策の結果、「いままでにないほどの不安定な状態を作り出した」と非難。米国のエネルギー政策をOPEC(石油輸出国機構)からの独立性を高めると約束した。また米国からのエネルギー輸出を促進し、政府がエネルギーや環境政策によって、民間の活動に影響を及ぼすことを避ける、と言明した。

 

 民主党候補のクリントン氏と、バーニー・サンダース上院議員は、いずれも気候変動対策として化石燃料から再生可能エネルギーへのシフトを支持している。オバマ大統領は伊勢志摩サミットでも、パリ協定の早期批准に賛同している。環境・エネルギー政策のスタンスが、米大統領選挙の論点として急浮上してきたといえる。

 

 この日のトランプ氏の環境・エネルギー政策について、エネルギー業界は歓迎を表明したが、環境保護団体は気候変動を加速させるとして強く批判している。

http://jp.reuters.com/article/usa-election-trump-energy-idJPKCN0YI01B

http://www.bloomberg.com/politics/articles/2016-05-26/trump-says-he-d-approve-keystone-xl-for-a-share-of-profits