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ダイキン工業 神戸市と共同で、上下水道の中を流れる「水流エネルギー」を利用したマイクロ水力発電実証実験へ。10kWクラスの超小型版の開発目指す(RIEF)

2016-05-28 20:38:07

daikinキャプチャ

 

 ダイキン工業は、神戸市水道局と協力して上水道の管水路を流れる「水流エネルギー」を利用して発電する超小型のマイクロ水力発電システムの開発に乗り出す。

 

 通常、上水道施設には利用者全体に対して、安定的に水を供給するため、適切な水圧を保つための圧力調整用のバルブを随所に設置している。この調整バルブを超小型のマイクロ水力発電システムに置き換えることで、これまで利用されてこなかった水流エネルギーを発電に利用しようという計画。

 

 小水力発電は火力発電所などと異なるため、CO2の大幅削減につながる。また太陽光や風力とも異なり、気象条件に左右されず、24時間発電が可能。

 

 すでに同社は、環境省の「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」として、2013年度から2015年度にわたって22kWクラスおよび75kWクラスの縦型マイクロ水力発電システムの開発を手掛け、それぞれ富山県南砺市、福島県相馬市での実証実験で成功を収めている。

 

 今回はさらに水車のマイクロ化を進め、10kWクラスの超小型のマイクロ水力発電の開発を神戸市と進める。同事業は環境省の2016年度事業の認定を受けた。神戸市との共同開発では、同社が実用化した22kWクラスのマイクロ水力発電システムを神戸市水道局福谷中層配水池に設置し、遠隔制御機能や長期的な性能、メンテナンスなどにかかる運用コストの評価などを行う。

 

 今回の実証実験用のシステムは、一般家庭約65軒分に相当する年間211MW時の発電能力を持つ。一般的に小水力を利用する100kW以下のマイクロ水力発電は、発電規模に比べ、導入コストが高く、機器のサイズも大きいという課題があった。ダイキンではさらなるマイクロ化を進めて、管水路の「部品化」することで、コスト問題を克服できるとみている。

 

 小水力発電のマイクロ化推進には、ダイキンがこれまで開発してきた空調・油圧機器の省エネ技術を応用することで対応が可能となる。また同社開発の縦型マイクロ水力発電システムは、設置面積が従来の横型のものの約半分で、導入コストも大幅に削減できる利点もある。

 
 マイクロ水力発電は、上下水道施設だけでなく、生産過程で水を多く使用する鉄や紙、化学品、薬品、飲料品などの工場の管水路等への導入も可能。設置場所の水力に応じて、発電電力22kWクラスおよび75kWクラスの発電システムを組み合わせて導入できる。

 

 全国の上水道事業および水道用水供給事業は1482か所で、このほか工業用水の供給を受けている事業所は3160か所ある。同社は、これらの企業設備においても、マイクロ水力発電システムの導入可能性は高いと見込んでおり、自治体や企業の両方の市場を想定しながら全国への普及を推進する考えだ。

 

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■発電概要

1.設置場所: 神戸市水道局福谷中層配水池マイクロ水力発電所
神戸市西区櫨谷町(はせたにちょう)福谷745-1
2.最大発電出力: 24.1キロワット
3.年間可能発電電力量: 211メガワット時

 



■管水路用マイクロ水力発電システムの特長

 

(1)

 

狭小箇所にも設置可能な小型軽量設計
従来の水力発電システムは、発電機の他にコントローラーを別に設置する必要がありましたが、本発電システムは発電機とコントローラーを一体化し、配管に接続した縦型水車の上に配置することにより、設置面積は従来の横型マイクロ水力発電の半分以下となりました。また、小型・軽量化により、従来、水力発電システムを設置することができなかった既存水道施設の狭小箇所にも設置が可能となり、工事費用も抑えることができます。

 

(2)

 

空調・油圧機器事業で培った技術を応用した高い発電能力および制御機能
水車には空調事業で培ったファンの流体解析技術を応用し、発電機とコントローラーには空調事業と油圧機器事業で培ったモーター技術、インバーター技術を応用することで、効率よく水流エネルギーを電気エネルギーに変換します。また、水車の流量制御機能によって、落差が変動しても安定した運転ができ、さらに遠隔操作機能によって、きめ細かな送水量の調整が可能です。

 

(3)

 

既存量産部品の活用、部品の削減、メンテナンス性の向上で低コストを実現
水車の母体に汎用ポンプを使用するなど量産部品の活用、コントローラーと発電機の一体小型化、部品点数の削減などにより、コストを大幅に削減しました。また、発電機や水車を分解することなく磨耗部品を交換できる構造にするなど、メンテナンス性を向上させました。空調の電力の見える化や遠隔操作・監視の技術を活かし、インターネットを介して発電システムの維持管理を支援することで、メンテナンスコストも大幅に削減できます。

 

http://www.daikin.co.jp/press/2016/160526/index.html