HOME10.電力・エネルギー |2015年の世界の再エネ導入量147GW。過去最大規模。太陽光、風力が主導。日本の太陽光発電も中国に次ぐ規模。REN21が新たなレポートで指摘(RIEF) |

2015年の世界の再エネ導入量147GW。過去最大規模。太陽光、風力が主導。日本の太陽光発電も中国に次ぐ規模。REN21が新たなレポートで指摘(RIEF)

2016-06-06 00:02:39

REN1キャプチャ

 

 世界の新規再生可能エネルギー発電量は2015年に過去最高規模の147GWとなった。アフリカ全土の電力量全体と同量が一年間で増えた計算だ。再エネ投資をまとめているREN21が2016年版のレポートで報告した。

 

 レポートによると、再エネ発電の中でも、太陽光、風力、水力の各発電の伸びが著しい。クリーンエネルギー投資は2860億㌦(約31兆4600億円)で、全体の56%は太陽光発電、38%は風力発電への投資となった。これ以外に大規模水力や熱利用の投資も加えると、自然エネ市場の存在感は年々増している。

 

 再エネ投資の総額は、昨年の石炭火力や天然ガス火力への投資額(1300億㌦)の倍以上となった。REN21の代表のChristine Lins氏は、「驚くべきことに、再エネ投資シフトという結果は、化石燃料価格が歴史的な超低価格の環境下で実現したという点だ」と指摘している。

 

 しかも、「化石燃料への政府補助金に比べて再エネ向けの補助は極めて限定されているにもかかわらずだ」。各国政府のエネルギー燃料補助金は、再エネ向けが1㌦とすると、化石燃料向けは4㌦という比率になっている。

 

 また地域別でみると、今回、初めて途上国の再エネ投資額が先進国の投資額全体を上回った。特に中国は世界全体の再エネ投資の3分の1を占めた。GDP対比で再エネ投資額が多かったのは、ジャマイカ、ホンジュラス、ウルグアイ、モーリタニアなど。

 

 先進国では、米国の再エネ投資が引き続き好調だが、これまで再エネ投資をリードしてきた欧州は伸び率の鈍化や低下が目立つ。欧州全体の再エネ投資額は前年比21%も減った。これは長引く欧州景気の停滞で、各国の再エネ事業への補助金の廃止や義務的目標の修正などが影響しているという。

 

 ただ、EUの場合、すでに電力に占める再エネ比率は平均で44%に達しており、最終エネルギー商品に占める割合も15%と高い水準になっている。今後、パリ協定の目標達成に向けて、追加的な再エネ投資を進めるインセンティブづくりが欧州の課題といえる。

 

 日本は中国に次いで世界2位の太陽光発電(11GW)が導入された。累積でも中国、ドイツに次ぐ3番目の太陽光発電設備(35GW)を抱えている。投資額も、中国、米国に次ぐ第3位を維持している。ただ、日本政府は2017年から太陽光発電の固定価格買い取り制度(FIT)に入札制を導入するため、日本の太陽光発電市場の拡大が鈍化する懸念もある。

 

 REN21のレポートでは、風力発電の伸びも目立っている。 2015年の新規稼働の風力発電量は63.5GWと過去最高だった。導入地域は世界全域にわたっている。同時に、市場の成熟化も出ているという。

 

 再エネ分野での新規雇用は、世界全体で810万人だった。これ以外に中国での水力発電で350万人の雇用があった。米国ではすでに石油・ガス産業の労働者よりも、多くの労働者が太陽光産業で働いている。ただ、クリーンエネルギー分野の雇用伸び率は6%増で、石油産業の雇用の伸び率のほうが18%増と上回った。

 

 こうした差が生じるのは、再エネ産業は着実に成長しているものの、そうした成長は従来型の化石燃料主導のインフラシステムの制約を受ける点がネックになっているという。現行のエネルギーシステムは化石燃料や原子力エネルギーを想定した中央集権的なものとなっている。

 

 太陽光や風力などの再エネに適したインフラは分散型・コミュニティーベースとなる。さらに自然エネルギーを蓄積利用する体制の構築も必要だ。REN21の議長、Arthouros Zervos氏は「再エネを列車に例えると、化石燃料用の20世紀型旧式線路の上を走らされているようなものだ」と指摘している。

 

http://www.ren21.net/status-of-renewables/global-status-report/