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太陽光発電で飛ぶ小型飛行機、米国で登場。CO2排出ゼロのほか、燃費コスト5分の1、騒音も小さく、「エコ飛行機」が身近に(RIEF)

2016-06-04 09:59:53

 

  太陽光発電を使った量産型の飛行機が登場した。米Aero Electric Aircraft(AEAC)(米デンバー州)は、太陽電池で発電してモーターを駆動させて飛ぶ「Sun Flyer(サンフライヤー)」を開発、このほど公開した。

 

 航空機の排ガスによる温暖化問題は、未解決なテーマの一つ。特に国際航空による温室効果ガス排出の規制は民間航空機機関(ICAO)での長年の課題で、先の伊勢志摩サミットでも取り上げられた。

 

 太陽光を利用した飛行機としては世界一周に挑戦した「Solar Impulse 2」が有名だ。同機は主翼全長は72mと巨大だが、AEACが開発した「Sun Flyer」は2人乗りの練習航空機で主翼全長は、10.97mと7分の1程度。操作性能が高いほか、経済面でも優れているという。

 

airplane1キャプチャ

 

 通常、飛行機はエンジンで飛ぶ。プロペラ機でもジェット機も同じだ。ところが、Sun Flyerの動力は、エンジンではなく、電動モーターだ。エコカーと同じ。このため、飛行機につきものの、エンジンを冷却するための空気取り入れ口もない。その分、空気抵抗が少なくて済み、燃費性能も高い。当然、CO2の排出はゼロ。

 

 またエンジンがないので、飛行機につきものの「騒音」も少ない。モーターを駆動中の騒音レベルは55デシベル(dB)で、静かに走行する自動車の車内や普通の会話、デパートの店内よりも音が小さいという。

 

 このため、都市や住宅地に近接する空港で、離着陸の際に問題となる騒音被害はあまり起きないという。したがって、何度も離着陸を繰り返す練習機にはもってこいというわけだ。燃料費はエンジン搭載の飛行機に比べ5分の1で済む。飛行1時間当たり電力料金はわずか1㌦という。

 

 また通常の飛行機は、ガスの混合比やエンジン内のシリンダ温度などをパイロットが監視する必要がある。ところが、Sun Flyerはエコカーのように、ECU(Electric Control Unit)によって、リチウム蓄電池内の電力の監視とエンジン出力を自動的に統合して制御するので、操作性が飛躍的に高い。

 

 AEACは今回公開したコンセプト実証機の性能データをベースにして量産機の仕様を確定し、米連邦航空局(FAA)の認証を得る予定だ。

 

 米国では個人使用の飛行機が普及しているため、練習機の需要も高い。ただ、これまでは飛行機の操作力を習得するための養成コストが高いという課題があった。しかし、Sun Flyeのようにエコカータイプの練習機が登場すると、燃料コストが安く操作性も高いため、養成コストを引き下げることが可能になるとみられる。

 

 AEACでは今後、Sun Flyerの大型化も目指すとしている。

 

http://www.sunflyer.com/