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北極海の氷表面積。5月も過去最小。例年より100㎢も小さく。暖気の流れ込みとエルニーニョの影響も。ホッキョクグマはどこへ行く?(RIEF)

2016-06-12 00:43:52

Arcticキャプチャ

 

 北極海の5月の氷表面積が、例年に比べて約100㎢も小さく、過去最小となったことが観測された。

 

 米国雪氷データセンター(US National Snow and Ice Data Center:NSIDC)の観測によると、5月の北極海の氷表面積は過去38年間でもっとも小さかった。今年に入って、3月を除く他の月は過去最小となっており、このままの気温の推移が続くと、北極海は例年にない広がりをみせることになりそうだ。

 

 北極の氷の溶解が記録的な勢いになっているのは、暖気が北極海に侵入していることと、太平洋の赤道直下でのエルニーニョの発生の影響があるとみられる。暖かい暖気は、東シベリアと北欧州の両域から北極海を挟み撃ちするように流れ込んでいるという。

 

 このため北極海の気温は、地球の他の地域に比べて2倍のスピードで上昇しているという。気温上昇で北極海を覆っていた氷の溶解は、通常の年に比べて2~4週間早く起きている。

 

 米国とカナダの沖合にあるBeaufort Sea の海氷が例年になく早く溶けている。この春の北極の平均気温は通常よりも約3°C (5°F)高かった。 Beaufort Seaにあるアラスカ州のBarrowでは、5月に雪が解け、過去78年間には見られない現象となったという。平年なら同地の雪解けは6月末か7月からだが、今年は5月の13日に始まり、過去最も雪解けが早かった2002年より10日も早かった。

 

 NSIDC Director のMark Serreze氏は「単に過去の記録を上回っただけではない。従来の最小記録よりもはるかに小さい氷しかない」と指摘している。

 

 通常の年に比べると、ハドソン湾とその周辺の海域で、米国のテキサス州とほぼ同じ面積の463万平方マイルの氷床が消えてしまったという。このため、過去の最小面積だった2014年に比べて22万4000平方マイル小さくなっている。

 

 今後、よほどの気候の逆変化が生じない限り、海氷面積の縮小は冬に入るまで止まらず、北極海の生物たちにとって今年は、歴史的にも過酷な年になりそうだ。

 

arctic2キャプチャ

 

  Serreze氏は、太平洋の赤道直下で発生したエルニーニョの影響が、北極にまで及んでいることも重視している。夏前に北極の氷がこれだけ小さくなったことは過去に例がない。地球は予想より早く、温暖化の影響が随所で顕在化してきたといえる。

 

http://www.climatechangenews.com/2016/06/08/arctic-sea-ice-hits-new-record-low/