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大分県・豊後高田市で 小型風力発電建設計画に地域住民が反発(大分合同新聞)

2016-06-10 15:30:34

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 大分県豊後高田市の臼野地区で小型風力発電(高さ27メートル・計3基)の建設に反対の声が出ている。同地区の7自治会長が施行主体の建築会社(同市)に事業の中止を求め、意見書を提出した。低周波音や景観破壊などを理由とした上で、「声を上げるまで何の説明もなかった。黙っていると次々に建てられそう」と反発する。

 

 今後の普及が見込まれている小型風力発電。地元への説明が義務付けられていないことが、住民の不信感を招いている。

 建築会社によると、西村と泊の両自治会内の山林など約2700平方メートルを造成して、出力19・5キロワットの小型風力発電機の設置を計画している。

 

 臼野地区は8自治会で構成。2月末、住民が建設計画を知り、7自治会長の連名で反対の意見書を同社に提出した。地区住民548人の署名が集まっているという。

 

 地区住民によると、建設予定地から数十メートル離れた場所に民家がある。羽根の風切り音などから発生する低周波音(100ヘルツ以下)を心配する声があり、時安天神楽の自治会長(67)は「初めて建つ物なので、子どものいる家庭が不安を抱えている。問題が起こってからでは遅いと思って、反対した」と語る。

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 同社は工事をストップし、住民説明会を計3回開催した。3月上旬だった完成予定は大幅にずれ込み、8月ごろに2基を稼働させる予定。その際、近くに騒音測定器を設けて、住民の不安に対応するという。残りの1基は年内の設置を目指す。男性社長(55)は規模が大きくないことを指摘した上で「法令を順守している。低周波音の値をしっかり見てもらいたい」と説明している。

 

 事態を注視する市企画情報課は「再生可能エネルギーを推進する立場なので『設置に反対』とは言えない。だが、住民の不安を取り除く努力はしてほしい」としている。


売電条件良い小型、設置容易 追い風に

 「太陽光が売れにくくなって、風力が注目されている」。発電設備販売代理店(大分市)の関係者は再生可能エネルギーの現状をこう説明する。

 


 昨年1月に電力会社が発電抑制をできるようになって以降、事業用の太陽光発電の新設は採算面などから難しくなっている。一方、風力発電のうち小型(出力20キロワット未満)は固定価格買い取り制度で1キロワット時当たり55円。他の再生エネと比べて最も高い。

 

 小型風力発電は売電条件が良い上に、設置のハードルも低い。国や県の法令によると、景観などの影響を長期間調べる環境アセスメントの実施対象は、総出力7500キロワット以上または造成面積30ヘクタール以上の場合。1基2千~3千キロワットの大型を複数設けない限り抵触せず、普及の追い風になっている。

 

 九州電力によると、風力発電の設置を検討する申し込みは九州内で計68万キロワット(4月末)。昨年3月から4倍以上に増えている。

 

 県内では高さ15メートルの小型6基が国東市安岐町で稼働している他、大分市などで建設の計画がある。県工業振興課は「これまで風力発電の建設で住民とトラブルが起きた話は聞いたことがない」と話している。

 

http://www.oita-press.co.jp/1010000000/2016/06/09/131330841