HOME4.市場・運用 |日産自動車 バイオエタノールを燃料とする燃料電池システム開発。燃料電池車として2020年にも販売へ(RIEF) |

日産自動車 バイオエタノールを燃料とする燃料電池システム開発。燃料電池車として2020年にも販売へ(RIEF)

2016-06-15 12:38:20

nissan

 日産自動車は14日、バオエタノールを使う燃料電池の新技術(e-Bio Fuel-Cell)を開発したと発表した。同技術ではエタノール以外にも、天然ガス等の燃料も使って燃料電池によるモーター駆動が可能で、同電池を搭載した電気自動車(EV)はガソリン自動車並みの航続距離(600km以上)を実現できるという。2020年をメドに同電池搭載の燃料電池車を発売する。

 

 e-Bio Fuel-Cellは、車両jタンクに補給されたバイオエタノール(100%エタノールあるいはエタノール混合水)を改質器で水素と二酸化炭素(CO2)に分解、取り出した水素を固定酸化物形燃料電池(SOFC)の中で、空気中の酸素と化学反応させて発電する。SOFCではエタノールから取り出した水素の純度が低くても発電が可能で、作った電気を電池に貯めて、モーターを駆動させて走行する。

 

 SOFCは酸素と反応する燃料ならば何でも発電可能なので、燃料の多様性を図ることが出来る。さとうきびやとうもろこしなどを原料にするバイオエタノールは、北南米、アジアなど世界の多くの国で実用化され、広く流通している。これらの国々では、ガソリンスタンドで100%エタノールの供給インフラ環境が整っている。

 

 バイオエタノールは走行時にCO2を排出するが、サトウキビなどの原料が成長する過程でCO2を吸収していることから、全体では大気中のCO2排出と吸収が相殺されるため、カーボンニュートラルサイクルが実現する。また先行する水素燃料を使うトヨタやホンダの燃料電池車は、新たに水素を供給するステーションの設置が課題になっているが、日産のバイオエタノール利用の燃料電池車の場合は、すでにバイオエタノールが普及している市場が多いことから有利といえる。

 

 e-Bio Fuel-Cellを搭載したEVは、1回の燃料充填で最大800kmの走行距離を確保できるという。この点では既存のEVのネックである走行距離の短さをカバーできる。維持費も現行のEV並みになるとみている。日産の推計では新技術のランニングコストは1km当たり3.1円。現行タイプのEV(同2.9円)とほぼ同水準で、ガソリンエンジン車(同9円)の3分の1になる。

 

 日産ではすでに新車の試作車をつくり走行テストを始めている。今夏にも公開する予定。問題は車両価格だが、2020年に想定する販売時には、現行タイプのEV並みに抑える方針という。価格をできるだけ低く抑えることで、先進国市場だけでなく、ブラジル、タイなどの新興国市場への売り込みも重視する考えだ。

 

https://newsroom.nissan-global.com/releases/160614-01-j?lang=ja-JP