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中国政府 国民の肉消費量の半減目標を打ち出す。健康管理と同時に、温暖化対策にも貢献、と(RIEF)

2016-06-23 00:02:16

Chinafoodキャプチャ

 

 中国政府は、国民の健康管理のため肉類の消費を現状から半減させる計画を明らかにした。同時に、気候変動対策にも大きな好影響を与えるとの指摘も出ている。

 

 中国の健康省がこのほど定めた「ダイエット・ガイドライン」によると、13億人の国民が消費する 一日当たりの肉類消費量を40g~75gとする基準を示した。同ガイドラインは10年に一度発表されるもので、一般人の肥満防止や健康維持を目的としている。

 

 現在の中国人一人当たりの肉類の消費量は63kg。今後も経済成長と消費志向の上昇が見込まれることから、2030年までに30kg分が追加される見通しという。ガイドラインのレベルを維持するには、増加分を年14kgから27kgまでに抑えることになる。

 

 実際に中国の13億人が新たなガイドラインに沿って、肉類の消費量を40g~75g水準とすると、中国国内の畜産業から排出されるCO2量は、2030年までに現行の年18億㌧から10億㌧減るとの見通しが出ている。

 

 肉類の生産と消費から発生する温室効果ガス(GHG)の排出量は、地球全体の14.5%に達する。全運輸部門の排出量に匹敵する規模だ。畜産廃棄物からはCo2より温暖化係数の高いメタンなどが含まれることが大きい。

 

 中国の肉類消費量は世界の28%で、そのうち豚肉に限ると半分は中国人の胃袋に納まっているとされる。ただ、一人当たりの消費量は米国やオーストラリアの半分程度で、韓国よりも少し少ない(日本よりは少し多い)という水準。温暖化との関係でいえば、欧米人こそ肉食を減らすべきとなる。

 

 とはいえ、中国の肉類消費量は1982年には一人当たり13kgだったのが、30年ほどで、約5倍に急拡大しているのも事実。ある調査では、中国の肉類消費量だけで毎年、大気中のGHGを2億3300万㌧増加させているという。

 

 温暖化への影響だけではない。畜産業は膨大な水を消費し、大量の廃棄物を吐き出す。また乾燥地での過密な放牧の結果、牧草が消え、土地の疲弊・荒地化が進行する事例も少なくない。さらに、これこそ健康省の管轄だが、肉類の大量摂取習慣の広がりで、糖尿病を患う中国人は1億人とされ、世界で最も多い。

 

 肉類の消費が地球環境にも、健康にも悪い、という指摘は、俳優のアーノルド・シュワルツネッガー氏と、ジェームス・キャメロン監督が展開するキャンペーンの「Less Meat, Less Heat」と共鳴するところもある。

 

https://vimeo.com/170833983

 

 キャメロン監督は「中国が肉類の消費を半減させることは、中国人の健康にいいだけではなく、パリ協定で定めた温室効果ガス削減目標をドラスチックに達成するための力強いリーダーシップの発揮にもなる」と、中国を全面的に持ち上げている。

 

http://dg.cnsoc.org/article/04/8a2389fd54b964c80154c1d781d90197.html