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横浜市内の小中学校に「仮想発電所」18ヶ所構築。電力の需要調整と災害時の非常用電源確保。東芝、東電EPと3者協定締結(RIEF)

2016-07-07 18:08:55

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 横浜市、東芝、東京電力エネジーパートナー(EP)の3者は、夏場の電力需要調整や災害時の非常電源確保等を、地域単位で実現できる「仮想発電所(バーチャル・パワー・プラント:VPP)」を、横浜市内で構築することで合意、基本協定を締結した。

 

 横浜市などの3者はこれまでも、横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)実証事業で協力してきたほか、昨年4月に発足した「横浜スマートビジネス協議会(YSBA)」でも、防災性、環境性、経済性に優れたエネルギー循環都市の実現に向けた取り組みを展開してきた。

 

 こうした協力体制を踏まえて今回の協定では、横浜市内の小中学校から区単位で1校を選び、合計18カ所の学校に10kW時の蓄電池設備を設置する。これらを東芝が開発した蓄電池群制御システムで管理し、平常時には電力需要の調整(デマンドレスポンス)のために、東電EPが利用し、非常時には防災用電力として横浜市が活用する仕組み。

 

 公共施設に設置した蓄電設備を官民がその用途に応じて共同活用する形となる。今月から2018年3月末までの間に、遠隔操作によって各VPPの蓄電設備が順調に充放電できるかどうかの実証実験を実施し、事業性や有効性を検証する予定。

 

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 横浜市にとっては、公共施設の防災性を向上させるとともに、再エネ事業の普及による地域の電力の安定化、小中学校での環境教育の場にも活用できる。東電EPにとっては、デマンドレスポンスの手法を確立できるほか、電気と蓄電池のセットによって、顧客向けの新たなサービスを展開できる。また、東芝は、IoT(モノのインターネット)技術を活用した新たなビジネスの実証と展開を図る。

 

 また、今回構築する制御システムは既存の太陽光発電設備などにも接続が可能。横浜市は連系接続によって、「あかりの途切れない拠点づくり」を実現し、エネルギー循環都市としての展開を目指すとしている。記者会見した林文子市長は「新たなモデルとして全国に先駆けて事業を展開する。環境負荷低減のほか、初期投資を抑えて防災機能を高められるメリットもある」と強調した。