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Bloombergの「2040年までの新エネルギー予測」 2027年ごろに風力・太陽光の再生可能エネ発電のコストが、石炭・ガス発電を下回る。40年には発電の60%がゼロエミッションに(RIEF)

2016-07-12 16:06:34

Bloombergキャプチャ

 

 Bloomberg NEFは2040年に向けた世界の新エネルギー市場の展望をまとめた。それによると、2027年ごろを境として、太陽光、風力の再生可能エネルギー発電のコストが石炭やガスなどの化石燃料発電を下回る、と推計している。再エネ発電はさらに広がり、2040年にはゼロエミッションエネルギー源が、発電設備の60%を占めると推計している。

 

 化石燃料の石炭やガスの価格は、引き続き、弱含みで推移するとみている。石油価格は近いうちに回復し、長期的には米国のLNG市場の生産費用は上昇するとみられ、これらの要因がガス価格に影響する。その結果、2040年のガス価格は$6-9/MMBtuになる。

 

 しかし石炭の価格は2011年のピーク以来低下を続けており、この傾向は、中国の経済成長のスローダウン、他の途上国での排出権規制の強化などで、今後も続く。

 

 一方、風力、太陽光の再生可能エネルギー発電のコストは、すでにいくつかの国で政策支援がなくても他の化石燃料発電と競争可能なレベルにまで下がっている。陸上風力発電のコストは2040年にはさらに41%分下がる。太陽光発電の発電コストも現状より60%下がり、2040年には世界的に平均で$40/MWhまで下がる。

 

 太陽光発電は2030年までに、最もコストの安い発電手段になるだろう。2016~40年の間の新規発電設備の43%の3.7TWを占め、3兆㌦の投資資金を集める見通し。このうち3分の1は家庭の屋根などに設置する小型発電で占められる。家庭や企業は電力の消費者から製造者も兼ねるProsumerになる。家庭用PVは世界の電力需要の15%をカバーするとみている。

 

Blooberg4キャプチャ

 

 地域別ではOECD諸国においては、成長の鈍化で、電力需要は引き続き弱い状態が続く。家庭や企業でのProsumer化に加えて、電力システムはデマンド・レスポンスや蓄電サービス、相互接続器とコントロールシステムを中心としたシステム・サービスに転じていく。OECD各国全体ではこうした柔軟性を備えたシステム化で336GWの電力が供給される見通しだ。グローバルには938GWに達する。

 

 途上国などの非OECD諸国では中国とインドを中心として、再生可能エネルギーの導入が進み、非OECD経済全体の再エネ比率は61%にまで上昇する。ただ、明確な温暖化対策の欠如から、石炭火力も引き続き主要な電源として使われる。今後5年間でも、中国だけで190GWの石炭火力が追加される。インドや東南アジア、中東などでも2020年以降は、新たな石炭火力建設が予想されている。

 

 Bloombergは2027年ごろに再エネ発電のコストが、政策支援がなくても、化石燃料発電のコストを下回る転換点が起きると推測するが、排出権取引や環境税などのカーボン・プライシング政策を実現している国ではもっと早くなるという。また既存の風力や太陽光の発電サイトも、システムの改善等で発電コストを引き下げる動きが広がる。

 

 世界の電気自動車は2040年までに全車両の25%を占める。蓄電技術の進展と大量生産技術の展開が、自動車のグリーン化を水深する。さらに電気自動車自体による発電力は世界の電力消費の8%に相当する2701TWhを供給できるようになる。

 

 アジア太平洋地域での再エネ導入は特に顕著で、2040年まで25年間で新規建設される発電所の3分の2に当たる4890GW、投資金額にして3.6兆㌦に達する。このうち陸上風力発電が最も多く、1.3兆㌦を占める。

http://app.c.bloomberg.com/e/es.aspx?s=522772699&e=81283&elqTrackId=e0576b42f52c4e089d4d629492202e3a&elq=b21a4eec16c94f02bba2b116d41d54e5&elqaid=4317&elqat=1