台湾証券取引所(TWSE)がスチュワードシップコード導入。日英と同じComply & Explain方式。高い外国人投資家比率。(RIEF)
2016-07-12 22:20:00
台湾証券取引所(TWSE)は機関投資家向けのスチュワードシップコードの最終版を発行した。コードの基本原則は、日本や英国と同じく、Comply & Explain(ルールに従え、さもなくば、従わない理由を説明せよ)方式で、コードでは6つの原則も整備した。
台湾の金融監督委員会(Financial Supervisory Commission)によると、台湾株式市場の上場企業の株主は約4割が外国人投資家。このため国際的に整合性をとった株主行動や投資判断の基準としてのスチュワードシップコードの採択が求められていた。
コードの6つの柱は、まず投資家に対して、スチュワードシップ政策の立案と開示を求めている。次いで、その中で投資家が利益相反(Conflict of Interest)をいかに調整しているか、また投資先企業に対する定期的なモニタリング、さらに投資先企業との対話の継続、 株主投票政策の立案と実際の株主投票行動結果の開示など、最後にスチュワードシップコードに基づく行動の定期的開示、などを盛り込んでいる。
投資家が投資先企業への監視や対話で手に入れるべき情報については、環境、社会、ガバナンス(ESG)に関する情報を含むとしている。
台湾ではこれまで企業ガバナンスについては、基本的に当局による規制と指示の強制という形が主だった。しかし、スチュワードシップコードは、投資家や企業側による、より柔軟なComply & Explain方式とすることで形式主義を排して、弾力的な対応が可能になると期待されている。
TWSEは今年1月に最初のドラフト版を公表、それに対するステークホルダーのコメントを加味して、今回、最終版をまとめた。International Corporate Governance Network (ICGN) や Hermes Equity Ownership Services (EOS)などがコメントを寄せた。
ICGNは投資先企業への要請にとどまらず投資家自身のガバナンス条項の導入や ESG課題の考慮を コードに求めた。また Hermes EOSの Co-Headを務める Hans-Christoph Hirt氏は、規制当局者の役割についてのガイダンスの提示を求めた。
TWSE は各機関投資家に対して、それぞれのコードへのコミットメントの方針や体制等を、ウェブサイトで公開するよう求めている。また、財務報告書での開示も 選択肢にあげている。
< TWSEのスチュワードシップコードの6つの原則>
1. Establish and disclose stewardship policies;
2. Establish and disclose policies on managing conflicts of interest;
3. Regularly monitor investee companies;
4. Maintain an “appropriate dialogue and interaction” with companies;
5. Establish clear voting policies and disclose voting results;
6. Periodically disclose the status of fulfilment of stewardship responsibilities.