東芝不正会計問題 個人株主が新日本有限責任監査法人への損害賠償求め、東芝に提訴請求書送付 提訴しない場合は株主代表訴訟に(各紙)
2016-07-20 14:14:08
各紙の報道によると、東芝の不正会計問題で、大阪府内の男性株主が、同社の会計監査を担当していた新日本有限責任監査法人の責任問うよう東芝に対してに訴訟請求書を送った。新日本が監査法人としての注意義務を怠ったとして、約115億円の損害賠償を求める内容という。東芝が60日以内に提訴しない場合、男性は会社法に基づき株主代表訴訟を起こす方針という。
男性の代理人を務める「株主の権利弁護団」(大阪市)によると、監査法人に対する代表訴訟はこれまで例がない。
弁護団等によると、東芝は2008〜14年度にかけて、主力の半導体やテレビ事業に関する損失計上の先送りなどで総額約2300億円の利益を水増しした。この間、同社の会計監査を担当していた新日本は、同期間中の決算を「適正」と評価してきた。
これに対して、金融庁は昨年12月、新日本の監査に問題があったとして、公認会計士法に基づき、新日本に課徴金約21億円の納付や新規契約業務の3カ月停止(1〜3月)などの処分を出した。新日本の英公一理事長は辞任、東芝の監査法人はPwCあらた監査法人に変更になっている。
原告の男性は「新日本は不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況に接しながら、追加的な監査などを行わなかった」と指摘。東芝が決算修正に伴って新日本に対して追加で支払った監査報酬(約30億円)などを損害額としている。
東芝広報・IR部は「書面を受け取っていないのでコメントを差し控える」としている。男性は5月、室町正志前社長ら歴代役員11人を相手取り、総額27億円を東芝に支払うよう求める株主代表訴訟を東京地裁に起こしている。
東芝問題以降、新日本との監査契約を解除した上場企業は、6月末時点で、東芝を含め38社となっている。