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英国の新設原発ヒンクリーポイントC建設計画の先送り、「安全保障上の中国要因原因説」に、中国側が“牽制”(RIEF)

2016-08-02 18:12:11

HincleyPointCキャプチャ

 

 英国政府が20年ぶりに国内に新設を目指すヒンクリーポイントC原発の建設決定を先送りしたことで各方面に波紋が及んでいるが、同原発に3分の1の出資を予定している中国が「牽制」を示した。

 

 同原発建設計画は事業主体がフランスの国営電力会社のEDFで、中国の原子力企業の国有企業である中国広核集団(CGNPC)から3分の1の出資を得る予定だ。しかし、今回の決定先送りの理由として、中国が建設した原発のコンピューターシステムに、何らかの細工を施すリスクがある、といった安全保障上の懸念が出ていることが影響したとの見方が出ている。

 

 またテリーザ・メイ首相の信頼の厚い共同首席補佐官のニック・ティモシー氏が以前から同原発への中国の参加を牽制してきたことも取りざたされている。http://rief-jp.org/ct4/63362

 

 こうしたことを踏まえた形で、直近の新華社はこの問題を取り上げ、「中国は英国がこの問題を決断するために時間が必要ということを理解し、尊重する。しかし、中国が事業に対して技術面での不当なこと(backdoor)を行なうのではといった懸念は強く否定する。英国の責任ある決断が出るのを待つが、英中関係を阻害するような、中国に対するいわれなき批判は受け入れることは出来ない」などと指摘した。

 

 新華社の記事は中国政府の公式のコメントの体裁はとっていない。しかし、中国が同紙を通じて、政府の意向を伝えることはよくある。今回の記事は、先週、EDFが事業決定をした後に、メイ首相が安全保障上の配慮について触れたことを意識したものとみられる。

 

 新華社の記事に関して、英首相官邸のスポークスウーマンは、「首相の関心は、わが国が、信頼に足る、確実なエネルギー供給を必要としており、さらに原子力はその重要な部分を構成するということを踏まえて、適切な決定をしたいということだ」と説明。同氏はその『信頼に足る、確実なエネルギー供給』が、ヒンクリー計画に中国が参加することを指すのかどうか、また政府として中国側と何らかのコンタクトをしているのかどうかについては言明しなかった。

 

 しかし英紙の報道では、連立政権でビジネス大臣を務めた自由民主党のVince Cable議員は、メイ首相は内務相の時に、中国一辺倒だったジョージ・オズボーン財務相のごり押しで、中国のビジネスマンに対してビザを乱発を強いられ強い不満を持っていた、と明かしている。そのうえで、Cable氏はメイ首相は、中国からの投資について、安全保障上の一定の懸念を持っていると指摘。前政権下で、極端な中国寄りの政策が取られたことへの懸念から、米国が中国に対してとるようなスタンスへの切り替えを目指している、と推測している。

 

 英官邸スポークスウーマンは、中国投資についてのスタンスの変化の有無を問われ、「英国は世界に開かれており、世界中からの投資を受け入れたいという点は明確だ。中国はグローバル経済の世界で活躍しており、われわれは引き続き中国と強い関係を維持していきたい」と述べた。

 

 中国のCGNは先週末、英国の新政権がこの問題について熟知するための時間が必要ということを尊重する、とのコメントを出している。EDFはノーコメントの立場だ。

https://www.theguardian.com/uk-news/2016/aug/01/china-warns-uk-over-suspicious-approach-to-hinkley-point-deal