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米ニューヨーク州 2030年に再エネ比率50%目標を決定。全米で4番目の「先進クリーンエネ州」。ただし、原発電力も含める。州内で議論に(RIEF)

2016-08-03 13:08:11

cuomoキャプチャ

 

 米ニューヨーク州は、2030年までに州内で発電する電力の半分を再生可能エネルギーなどのクリーンエネルギーで賄うことを決めた。化石燃料からの脱却を明確に打ち出したのは、ハワイ、カリフォルニア、バーモントの各州に次ぐ動き。ただ、ニューヨーク州の場合、クリーンエネルギーの範疇に原子力発電所も含めており、環境保護団体などからは異論が出ている。

 

  今週初めに同州の公共サービス委員会が決定した。新エネルギー計画は昨年後半に、アンドリュー・クオモ州知事(写真)が提唱した「50 by ’30」目標に基づいている。ニューヨーク州は現在、州内の電力の4分の1を再生可能エネルギーで賄っており、これを倍増させることになる。

 

 クオモ知事は「新しいクリーン・エネルギー基準は、気候変動対策に取り組みながら、現代経済が必要とする電力を生み出すことを目指すものだ。気候変動の脅威は日々高まっている。すべての他の州も、未来のための闘いに参加してもらいたい」と述べている。

 

 

 米国の各州では、ハワイ州が2045年に再エネ率100%の達成を宣言しているほか、カリフォルニア州は、ニューヨーク州と同じく2030年までに50%目標を掲げ、バーモント州はすでに来年には55%を達成できる見通しとなっている。ニューヨーク州はこれらの「先進州」の仲間入りを果たすことになる。

 

 温暖化対策を求める環境保護グループなどは、今回の州の動きを歓迎している。ただ、計画の中に、現在ある原発を改修・延長するために新たに補助金を供給することが盛り込まれているため、反原発グループは批判をしている。目標達成に向けて、最初の2年間だけで原発向けの補助金は9億6500万㌦必要で、さらに今後の12年間に76億㌦に膨らむという。

 

 同州のNGO「Food & Water Watch」のAlex Beauchamp氏は、「州の決定は間違った方向に向かっている。ニューヨークは本当のクリーンエネルギーで100%を目指すべきだ。今回の原発への補助金追加供給は、古くて危険で、経済的にもコストのかかる原発産業への救済に過ぎない」と非難している。

 

 ただ、州内の労働組合は、原発稼動の延長によって雇用が維持されることを評価している。同州では、電力会社のExelon CorpがOntarioにあるGinna原発(597MW)と、OswegoのNive Mile Point原発(1205MW)を保有しており、EntergyからFitzPatrick原発も購入する予定。このうちNine Mile Point-1原発は来年3月に、燃料補充とメインテナンスのために停止する予定で、今回の州の補助金追加供給はこれらの稼動延長費用等に充当される予定だ。

 

 クオモ知事は、州内にある4番目の原発であるハドソン川沿いのIndiana Point 原発(Entergy保有)はニューヨーク市の北部に近接していることから、閉鎖を求めている。新エネルギー計画を承認した公共サービス委員会は、「原発に関して反対意見があることを承知しているが、原発を活用しないと州内の化石燃料使用を減らすことができない」と説明している。

 

http://www.sacbee.com/news/business/article93071732.html?utm_source=Inside+Climate+News&utm_campaign=04b39e9896-Clean_Economy_Wire12_10_2014&utm_medium=email&utm_term=0_29c928ffb5-04b39e9896-327781481