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アップル 正式にエネルギー会社に。米政府の許可取得。再エネ発電電力を卸売り市場に売却へ。日本の電力市場にも参入してもらいたい(RIEF)

2016-08-15 13:28:27

Appleキャプチャ

 

 i phoneなど、インターネット関連ビジネスのグローバル大手のAppleは、再生可能エネルギー電力事業に参入する。このほど、米連邦エネルギー規制委員会(FERC)に申請していた電気事業者としての売電事業への正式許可を得た。

 

 Appleのエネルギービジネス参入は、100%子会社のApple Energyを通じて行う。自社の太陽光発電などで得た余剰電力を卸売電力市場へ販売する。FERCの許可によると、Apple Energyは電力供給を安定的に続ける能力を持ち、主要サービスはエネルギーや関連サービスの販売となる。

 

 Appleの場合、販売するのは自社で活用した電力の余剰分が中心になる。FERCはこの点を評価し、同社が市場の需給をみて電力価格を高くするインセンティブを持たないことと判断したとしている。電力市場にとっての安定供給源としての期待もあるわけだ。

 

 同社は再エネ事業者のFirst Solarから太陽光発電電力購入するほか、自社での太陽光発電事業に、これまで25年にわたって8億5000万㌦(約900億円)を投じてきた。データーセンターのあるネバタ州では20MW、アリゾナの Salt River Project では50MWのソーラー発電を展開している。

 

 また話題を集めた。こうした積極的な再エネ投資や再エネ電力導入で、同グループの国内各工場等は、100%再エネ比率を達成。グローバルベースでも93%の再エネ比率に引き上げている。

 

 ただ、これまでは自社で使いきれない余剰電力が発生した時でも、売電せず、ムダにしていた。そこで、卸売電力市場に売却できる資格を得ることで、エネルギーの効率化を図るとともに、再エネ発電の普及をさらに後押しする。FERCが期待するように、Appleの売電価格は他の売電業者に比べて割引価格での販売になる見通し。

 

 Apple以外にも、米国の主なIT企業やインターネット関連企業は相次いで再エネビジネスを展開している。Google、Microsoft、Amazonなどの各社は風力発電所やメガソーラー事業を支援し、自らの消費電力の抑制と、カーボンフットプリントの減少を進めている。

 

 Googleの場合、Appleに先駆けて2010年に、FERCから余剰電力の卸売り売電の許可を得ている。また欧州市場でも今年6月にはノルウェーとスウェーデンの風力発電電力の購入契約を締結している。

 

  Bloomberg Intelligenceのアナリスト、Kit Konolige氏は「自社電力開発能力を持つ企業は、当然のことながらそれらの余剰分の販売を想定する。結果的に従来の電力会社に対する需要を減少させていく」と分析している。

http://www.apple.com/