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リオ五輪、熱気。地球の気候変動も記録更新が相次ぐ。米気象学会の最新報告書が明かす5つの重大事実。地表や海面の温度、海面の水位上昇も新記録(AFP)

2016-08-08 10:58:35

kiribusキャプチャ

 

 地球の健康診断表とも呼ばれるアメリカ気象学会(AMS)の年次報告書『2015年 気候の現状』が発表された。それによると2015年は19世紀半ば以降では最も高温だった。ほかにも二酸化炭素濃度から熱帯低気圧の発生数まで、いくつかの記録が更新されたという。

 

 報告書は世界62カ国の科学者数百人の協力を得て作成された。とりまとめた米海洋大気局(NOAA)の国立環境情報センターは、声明で「昨年の記録的な暑さは、長期的な地球温暖化の影響と、1950年以降有数の強さのエルニーニョ現象の影響が重なった結果だった」としている。(参考記事:「珍現象:エルニーニョで砂漠が一面の花畑に」

 

 また、「気候変動に関する指標のほとんどが、地球温暖化の傾向が続いていることを示している。陸地と海洋の温度、海面水位、温室効果ガスの濃度など、複数の指標が前年に出たばかりの最高記録を上回った」という。(参考記事:「温暖化で平均気温8℃上昇の予測、北極が熱帯に」

 

 では、報告書の数字を見てみよう。

 

地球の表面温度は最高記録を更新

 

 強力なエルニーニョの影響により、地球の表面温度は前年より0.1°C以上高くなり、2年連続で最高記録を更新した。産業革命以前の平均気温より1°C以上高くなったのは今回が初めてだ。温暖化は人間が居住するすべての大陸で見られた。

 

海面水温が新記録

 

 地球の平均海面水温も2014年の最高記録を上回った。温度上昇が最も大きかったのは太平洋北東部で、北大西洋の海面水温は平均より低かった。

 

二酸化炭素濃度が400ppmの大台を突破

 

 ハワイのマウナロア観測所で観測されている二酸化炭素濃度の年間平均値が、今回初めて400ppmの大台を超えた。標高が高く、局所的な変動の影響を受けにくいマウナロア観測所は、世界で最も長く二酸化炭素濃度を観測している観測点だ。(参考記事:「諏訪湖の御神渡り600年の記録が伝える気候変動」

 

 マウナロアでの2015年の二酸化炭素濃度の年間平均値は2014年の数値より3.1ppm高く、1年間の増加量としては58年間の記録の中で最大だった。各地の観測データから明らかになった2015年の世界の平均二酸化炭素濃度は399.4ppmで、2014年の数値より2.2ppm増加していた。

 

世界の海面水位も最高に

 

 地球温暖化の重大な結果とされる世界の平均海面水位も2015年に最高記録を更新し、人工衛星を使った正確な観測が始まった1993年の平均値より約7cm高くなった。過去20年間、海面水位は1年に平均3.3mmずつ上昇していて、なかでも西太平洋とインド洋の海面上昇が顕著である。(参考記事:「巨大防潮堤は沈みゆくジャカルタを救うか?」

 

世界各地で異常気象

 

 2015年は雨季の雨量が平均より多かったため、世界各地で洪水が発生し、大きな被害をもたらした。その一方で、深刻な干ばつに見舞われている地域は、2014年には全体の8%であったが2015年には14%まで増加した。

 

 2015年に発生した熱帯低気圧の数は101で、1981年から2010年までの平均82を大きく上回った。太平洋東部と中部では26の熱帯低気圧に名前がつき、1992年以降最も多かった。エルニーニョの年にはよくあることだが、北大西洋のハリケーンシーズンは例年に比べて静かだった。(参考記事:「北極点がヨーロッパ方向へ急移動と研究発表」

 

http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/080500297/