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国連責任投資原則(PRI) 2015年度の署名除外機関は103件。英ESG分析の老舗、SustainAbilityは自ら脱退(RIEF)

2016-08-08 18:07:30

PRIキャプチャ

 

 国連責任投資原則(PRI)は昨年度1年間で、新規の署名機関が223件に達した一方で、署名の取りやめなどで除外された機関がほぼ半数に近い103件あったことを明らかにした。

 

 新規署名機関のうち年金等の資産保有機関は26、資産運用機関156、サービスプロバイダー41。

 

 署名除外機関103件のうち、13件は、合併等で複数の署名機関が一つに統合されたため。2件はPRIが署名機関に提出を求めている年次報告書等を提出しなかったため、PRI側から除外された。この2件はいずれもオーストラリアの資産運用機関だった。

 

 これら以外は、署名機関側の事情で、署名を取りやめたいう。なかには、サステナビリティ投資を推進してきた英国の独立系シンクタンクでJohon Elkington氏が創設したSustainAbilityの名もある。ESG投資では老舗格の同社は「PRI脱退」の理由について「PRIの活動は重要と評価しており、支援はしたい。ただ、今回は組織の見直しの中で、署名料の支払いを見送った。署名料を払うかどうかは、毎年検討する」と説明している。

 

 PRIへの署名機関は、資産保有機関や運用機関は、それぞれの資産額に応じて、またサービスプロバイダーは雇用者数に応じて、年間の署名料の支払いを求められる。署名は「タダ」ではないのである。

 

 資産保有機関の場合、100億㌦以上は7950ポンド(約106万円)、最小の9000万㌦までは440ポンド(約59000円)となっている。また運用機関の場合、12880ポンド(172万円)~1030ポンド(13万7000円)、サービスプロバイダーは7950ポンド(106万円)~440ポンド(5万9000円)などとなっている。

 

 SastainAbilityのHPによると、同社の雇用者数は役員を含めて雇用者は28人だから、年間800ポンド(約11万円)の支払いが必要になる。小規模な組織にとって無視できない金額で、合理化を優先した場合、節約対象になるわけだ。

 

 それ以外の署名除外機関には、英国ハーリンゲイロンドン特別区の年金委員会、米国イリノイ州投資委員会などの公的機関のほか、豪州のGoldman Sachs & JBWere Superannuation Fund、中国のCSR推進で活躍するSynTaoなども入っている。

 

 日本の署名機関は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)など11機関が署名し、アジア全体での署名機関数17の大半を占めた。署名除外機関はゼロだった。

https://www.unpri.org/about/becoming-a-signatory

http://annualreport.unpri.org/signatories.html