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米カリフォルニア州 2030年を目標とした新温暖化対策法が成立。90年比40%削減を義務化。発電所、自動車の排ガス規制一段と厳しく(RIEF)

2016-08-29 23:54:45

Jbrownキャプチャ

 

 米カリフォルニア州の州議会は、気候変動対策を強化する新州法(SB32)を賛成多数で可決した。ジェリー・ブラウン州知事(写真)が先週末に同法に署名し、成立した。現行法の2020年の対策目標を2030年に延長するとともに、温室効果ガスの排出量を90年比40%削減する目標に強化した。

 

 先週の州上院議会の採決で、新法は25対13で可決した。30年に90年比40%削減新法の目標は欧州連合(EU)が定めている基準と同レベル。日本は30年に2013年比で26%削減を掲げているが、EUと同じ方式で90年比に直すと、14%削減と低くなるとの試算もある。

 

 カリフォルニア州が目標を達成するには、CO2の主要源である火力発電と自動車への両規制が一段と強化されることが確実だ。このため、法案の審議過程では、石炭、石油業界が反対のロビー運動を激しく展開してきた。

 

 2030年目標の設定を目指してきたブラウン知事は、こうした反対のロビー活動の主導者たちを「(温暖化懐疑派の)トランプの扇動者たち」と批判してきた。法律に署名した同知事は、「カリフォルニア州と米国を脱炭素化することは容易な闘いではない。これからも闘いは続くだろう」と強い決意を示している。

 

  MIT Sloan School of Managementの気候変動専門家でもあるJohn Sterman教授は、「カリフォルニア州の選択は温暖化対策で、政治がとるべき明確なメッセージとなった。同法は規制を受ける企業やクリーンエネルギー開発を目指す起業家たちへの投資を拡大する方向に働くだろう」と評価している。

 ただ、「温暖化を確実に抑えるには、カリフォルニアの法律でも不十分。もっと厳しい法規制が必要」とも付け加えている。

 オバマ政権が推進している石炭火力発電規制のクリーン・パワー・プラン(CPP)は、石炭産業や規制強化に反対する州などによる共同訴訟によって、現在は宙に浮いた形になっている。

 このため、カリフォルニア州の新法の成立は、発電所からのCO2排出量を50%削減目標を承認したニューヨーク州や、同様に発電所からのCO2を2030年までに35%削減目標を打ち出したコロラド州などのはじめ、温暖化対策に積極的な州の動きを促進しそうだ。

https://leginfo.legislature.ca.gov/faces/billCompareClient.xhtml?bill_id=201520160SB1161