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G20コミュニケ。初めて「グリーンファイナンス(環境金融と同義語)」の規模拡大を強調。「グリーン」の諸課題も、民間金融機関・市場との協力・協調で解決可能、と指摘(RIEF)

2016-09-06 21:13:44

G201キャプチャ

 

 中国・杭州で開いた主要国・地域(G20)首脳会合で採択したコミュニケには、グリーン・ファイナンス(環境金融)について、従来にない積極的な言及があった。 米中のパリ協定の協調批准で、協定の発効が年内にも確定する公算が高まる中で、協定の中身となる各国の温暖化対策への資金供給を確保する金融機関、金融市場の役割に、いよいよ関心がシフトしてきた。

 

 採択されたコミュニケにおける、グリーンファイナンス、クリーンエネルギー、パリ協定関係の内容を紹介する。

 

 まず、環境面で持続可能な成長をグローバルに高めるためには、グリーンファイナンスのスケールアップ(規模拡大)が必要だということを、G20として初めて認知した。そのグリーンファイナンスを発展させるうえでの課題として、環境の外部性を内部化する困難さのほか、期間のミスマッチ、「グリーン」の定義不足、情報の非対称性、「グリーン」の分析能力の不十分さ等を列記。しかし、これらの課題の多くは、民間セクターとの協力によって開発される選択肢によって解決可能だと指摘した。

 

 またG20は、中国と英国が共同議長として Green Finance Study Group (GFSG)という作業部会を設置、グリーン投資に民間資本を誘導するために金融システムの高度化を目指す総合的な報告書(G20 Green Finance Synthesis Report)を成果としてまとめたことを評価した。

 

 同報告書では、明確な戦略的政策のシグナルやフレームワークの提供とともに、金融界によるグリーンファイナンス発展への自発的な取り組み原則の促進、能力増強(Capacity Building)ネットワークの拡大、各国国内のグリーンボンド市場の発展の支援、グローバルなグリーンボンド投資の国際協力の促進、 環境・金融リスクをシェアする知識の普及啓発、グリーンファイナンス活動とその影響を測定する技術の改善などをあげている。http://g20.org/English/Documents/Current/201608/P020160815359441639994.pdf

 

 エネルギー協力についても一段と踏み込んだ。「G20エネルギー協力原則」の下で、機能性が高く、外部に開かれ、競争的で、効率的で、かつ安定性と透明性をもつエネルギー市場の構築こそが、利用可能で信頼性が高く、持続可能で低炭素な世界のエネルギー市場の姿を描くことにつながると指摘している。

 

 このエネルギー協力においても、よりクリーンなエネルギーの未来と、持続可能なエネルギーの安全保障に向けた協力が重要だと指摘している。エネルギー協力では、エネルギー効率化の促進、特に大型自動車を含む自動車の燃費改善等を進めることをうたっている。化石燃料への非効率な政府補助金を合理化し、フェーズアウトていくことも再確認している。

 

 ただ、化石燃料のうち天然ガスについては、相対的に温室効果ガスの排出量が少ないエネルギーとして、環境負荷を最小化する方法で天然ガスの開発,輸送、精製を促進するための協力を高めるとしている。またエネルギー資源調達源や調達ルートの多様化の重要性にも言及している。

 

 気候変動問題を解決するために、持続可能な発展と、強力で効果的な支援と行動にコミットすることを繰り返し強調している。パリ協定については国内の批准の準備が整えば直ちに手続きを取ることを確認し、年内に同協定に批准するめどがつくG20各国の行動を歓迎し、タイムリーな対策の実行を期待するとしている。

 

 そして先進各国が、パリ協定に沿って途上国の緩和・適応策を支援するために、金融資源を含む実効性のある手段を提供することで、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)でのコミットメントを満たす重要性を再確認している。

 

 特に途上国の温暖化事業支援で設立されたGreen Climate Fund(GCF)への支援に言及している。またG20 Climate Finance Study Group(CFSG)がまとめた「Promoting Efficient and Transparent Provision and Mobilization of Climate Finance to Enhance Ambition of Mitigation and Adaptation Actions」と題した報告書についても評価した。http://g20.org/English/Documents/Current/201608/P020160815356793288948.pdf

 

http://www.g20.org/English/Dynamic/201609/t20160906_3396.html