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格付け投資情報センター(R&I) グリーンボンド・アセスメント・サービスを開始。信用格付けとは別に、グリーンボンドの「グリーン度」を評価。GBPに準拠(RIEF)

2016-09-09 14:57:34

R&I1キャプチャ

 

 格付投資情報センター(R&I)は、企業や金融機関が温暖化対策資金を調達するために発行するグリーンボンドの環境適格性を評価する「R&Iグリーンボンドアセスメント」サービスの提供を開始する。日本の格付け会社がグリーンボンド評価に乗り出すの初めて。

 

 R&Iのグリーンボンドアセスメントは、債券の信用格付けとは別に、グリーンボンドの発行で調達した資金が、再生可能エネルギー事業やエネルギー効率化事業等に適切に流れているかどうか、資金の管理方法やレポーティングがしっかり行なわれているかどうかを評価、5段階で評価(GA1~GA5)するもの。

 

 評価の基準、手法等については、国際金融機関が自主的にまとめている「グリーンボンド原則(GBP)」に準拠する。その主な内容は①資金使途②プロジェクトの評価及び選定プロセス③調達資金の管理④レポーティング⑤発行体の環境活動ーーで、これらを総合評価する。

 

 グリーン投融資の対象事業もGBPに準拠し、①再生可能エネルギー②省エネルギー③汚染予防及び管理④自然資源の持続可能な利用ーーなど、9事業を列挙している。

 

 アセスメントの対象となる金融商品は、グリーンボンド(国債、国債機関債、地方債、財投機関債、事業債)のほか、プロジェクトボンド、資産担保証券(ABS)、これらに類似する金融商品(ローン、信託受益権等)、CPプログラム、MTNプログラム等も含める。

 

R&Iキャプチャ

 

 アセスメントの結果、付与する評価はGA1が「環境問題の解決に資する事業に投資される程度が非常に高い」という最高ランクとなり、以下、「高い」「十分である」「やや低い」「低い」と分類する。

 

 わが国でのグリーンボンド発行は、三菱UFJフィナンシャル・グループが今月に入って5億㌦のTLAC債型で発行したほか、これまでに日本政策投資銀行、三井住友銀行が発行しているが、まだ市場は小さい。しかし、2020年以降を見据えた国際的な温暖化対策のパリ協定の発効がほぼ確実となっていることから、今後、国内でも多様なグリーンボンドの発行が見込まれる。このためR&Iも新たな業務としてアセスメントに取り組むことにしたとみられる。

 

 グリーンボンドの「グリーン度」の評価ビジネスで、外資系格付け機関のムーディーズやS&Pも同様のアセスメントサービスを提供している。また、コンサルやESG調査会社などはセカンド・オピニオンの形で、監査法人系は第三者認証の形で、それぞれ「グリーン度」の評価サービスを展開している。投資家にとって、どの「グリーン度」評価が適格か、見極めが求められることにもなる。

 

https://www.r-i.co.jp/jpn/body/ancil/info/2016/09/info_20160909_159840822_01.pdf