HOME |年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のCIO、水野弘道氏 国連責任投資原則(PRI)の理事に立候補(RIEF) |

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のCIO、水野弘道氏 国連責任投資原則(PRI)の理事に立候補(RIEF)

2016-09-16 00:16:44

mizuno3キャプチャ

 

 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のCIO(最高投資責任者)の水野弘道氏は、国連責任投資原則(PRI)の理事選挙に立候補した。PRIの資産保有者代表用の理事ポスト2席に対して、スウェーデンの年金基金のCEOも立候補し、今月末から選挙が開かれる。

 

 日本からのPRIの理事には昨年7月、途中退任者の補充の形で、大和証券投資信託委託(現大和アセットマネジメント)のCIO(運用本部長)を務めた経験を持つ荒井勝氏(社会的責任投資フォーラム会長)が約半年務めた経緯がある。ただ、荒井氏の場合は、資産運用機関代表で、資産保有機関代表として理事に立候補する日本人は、水野氏が初めて。

 

 もう一人の候補者はスウェーデンの第二国家年金基金(AP2)CEOのEva Halvarsson氏。PRIの理事ポストは資産保有機関と資産運用機関、サービスプロバイダーの3タイプの署名機関ごとに理事ポストが配分されている。もっとも多い資産保有機関の理事ポストは今回1席増えたほか、12月に英国代表理事が退任するので、選挙対象は2席となる。

 

 理事ポスト2席に、2人の立候補者だが、立候補者が自動的に任命されるのではなく、資産保有署名機関による投票で過半数を得る必要がある。投票は電子投票で行われる。投票期間は9月26日から11月11日までのほぼ1カ月半の及ぶ。署名機関が世界中に点在するためだ。選挙結果は11月14日に判明する予定。

 

 水野氏は立候補に際して公表した声明の中で、「2015年1月にCIOとしてGPIFに参加して以来、私は常にESGの要因を国内投資でも海外投資でも考慮するようにしている」と、ESG重視の姿勢を強調している。

 

 また、GPIF自体の役割についても、「ユニバーサル・オーナーの完全な事例」と位置付けている。ユニバーサルオーナーとは、巨額の資産を持つ公的年金が経済社会全体に幅広く分散投資を行う状態を示す。そのため経済社会が持続的に成長するか、市場が健全に機能するか、といったことに強い関心を持つ機関とされる。

 

 水野氏は、「ユニバーサルオーナー」としてのGPIFにとって、「内外の株投資に際して、企業の持続可能性は、直接、間接に、重要な効果を生み出す」と長期投資を重視する考えを述べている。ただ、GPIFが2015年度に短期的な視点での株投資に失敗して、5兆3098億円もの巨額損失を計上したことについては、ひとことも触れていない。

 

 水野氏の立候補については、米カリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS)が推薦している。GPIFは昨年9月にPRIに署名した。資産規模135兆円で世界最大の公的年金基金として知られる。水野氏はすでにPRIの資産保有機関委員会のメンバーを務めている。

 

 もう一人の立候補者のHalvarsson氏については、スウェーデンの保険共済機関のLänsförsäkringarが推薦している。またサービス・プロバイダー機関代表の理事ポスト(1席)には、香港を拠点とするESGコンサル会社のPacific Risk Advisors Ltd、CEOのJames Pearson氏と、欧州の独立系ESG評価機関、VigeoEIRISの国際担当理事、Peter Webster氏が立候補して争う形となっている。

https://www.unpri.org/about/pri-governance/elections