HOME |気候変動対応のパリ協定。21日の国連本部での会合で一気に約20か国が批准へ。EUも年内批准にシフト。早ければ10月前半に協定発効の公算も。主要国では日本政府だけ「発効に間に合わない」懸念も(RIEF) |

気候変動対応のパリ協定。21日の国連本部での会合で一気に約20か国が批准へ。EUも年内批准にシフト。早ければ10月前半に協定発効の公算も。主要国では日本政府だけ「発効に間に合わない」懸念も(RIEF)

2016-09-20 00:08:30

UNキャプチャ

 

  週明けの21日にニューヨークの国連本部で開く予定の気候変動イベントで、約20カ国が新たにパリ協定の批准を表明する見通しとなった。また英国の欧州連合(EU)離脱で加盟国間の調整が遅れているEUも年内に批准の公算が高まったという。

 

 21日の会合で、一気に20カ国前後の批准が期待さる見通しとなったことは、国連事務総長の気候変動アドバイザーを務める Selwin Hart氏が、各国とのやり取りを踏まえて明らかにした。すでに米中を含む28カ国が協定の批准を正式に行っているため、批准国は50ヵ国近くに増える見通しだ。

 

 20カ国にはブラジル、メキシコなどが含まれている。パリ協定発効の条件は、世界の温室効果ガス排出量の55%以上を占める55カ国以上の国の批准があること、としている。今回の追加批准で国数では条件に極めて近くなる。また排出量についても、現在は39%だが、追加の20カ国の排出量と、世界の排出量の10%強を占めるEUが早期批准の方向を強めたことから、年内に条件を満たす可能性が強まった。

 

 Hart氏は「多くの国が協定発効の最終ラインに向かっている。発行の条件を満たす素晴らしいプロセスに入っている」と手応えを評価している。

 

 動きが注目されるのはEUだ。EUはこれまでも温暖化対策をリードし、パリ協定のとりまとめも、フランスをはじめ欧州各国のリーダーシップが大きい。ただ、協定ではEU全体としての削減目標を約束しているため、目標削減率を加盟28カ国(英国を含む)の間で配分する作業に時間がかかってきた。

 

 また離脱する英国の削減分をどう他の国々で配分するのか、英国自体はどう削減するのか、などの流動的な要素から、EUの批准は2017年、との見方が有力だった。しかし、先週末、スロバキアの首都ブラチスラバで英国を除く27カ国によるEU首脳会議では10月中に批准に向けて検討するとの方向性が示されたという。

 

 Hart氏は、「気候変動問題におけるEUのリーダーシップを誰も疑わない」と、EUの批准加速への動きを歓迎している。欧州委員会の気候部局のJos Delbeke氏は、「われわれはすべての手続きを加速している。各加盟国の批准が順調だと10月7日までにEUとしての批准が可能になる」と、具体的に述べている。

 

 EUの批准作業が順調にいくと、「EUの批准=パリ協定の発効確定」となり、EUが協定発効のトリガー役になる。日本政府も早く批准作業を進めないと、主要国では日本だけが、協定が発効してから出遅れ批准するという、何とも締まりのない対応になりかねない。安倍首相、何とかしてくださいね。

 

http://unfccc.int/2860.php