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EU環境相閣僚会議 「パリ協定」批准のスピードアップで合意。10月7日までの批准有力。協定発効は11月のマラケシュ閣僚理事会の直前に(RIEF)

2016-10-01 01:10:19

EU2キャプチャ

 

 欧州連合(EU)の環境相閣僚会議は30日、ブリュッセルで会合を開き、地球温暖化対策の新枠組みの「パリ協定」の批准をスピードアップする特別措置で合意した。欧州議会の同意を経て、10月7日までに批准する。EUは世界の温室効果ガス排出量の約12%を占めるため、50%台に迫っている排出量基準を満たすことが確実となった。

 

 EUはこれまで、全28加盟国の国内手続きの完了を受けて、EUとしてのパリ協定での削減目標を各加盟国に配分する作業を行う方針で、交渉を進めていた。しかし、これだとEUとしての批准自体が年を越すため、EUの批准を優先することを決めた。

 

 国内手続きの完了している国は、そうしたEUの手続きとともに、そうでない国はその後に、出来るだけ早く国内手続きをとるとした。同方針については、本サイトでも既報している。http://rief-jp.org/ct1/64614?ctid=70

 

 EUとしての批准承認には、欧州議会の同意も必要なことから、議会は閣僚会議の方針を受けて、来週、10月3~6日の審議で批准案を了承するとみられている。このスケジュールが順調に進めば、10月7日までに批准を完了し、それから30日後の11月6日までに、協定が正式に発効することになる。最短では10月3日の議会承認、翌4日の閣僚会議で決定となる。

 

 現在、EUの議長国を務めるスロバキアの環境相の László Sólymos氏は「本日は、気候変動に対するEUの行動にとってだけでなく、EUの統合にとっても重要な日となった」と成果を強調している。

 

 11月7-18日には、モロッコのマラケシュで、国連気候変動枠組条約第22回締約国会議(COP22)が開催される予定だ。そのCOP22の直前日に、EUの批准によって協定発効が本決まりとなることで、COP22の場でも、EUのリーダーシップをアピールできる。

 

 これまでのところ、EU域内で批准の国内手続きを完了しているのは、フランス、ハンガリー、スロバキアなど。英国やドイツも早期批准を公約している。

 

 わが国は、安倍首相が早期批准を明言したが、国会での審議の優先度は高くないため、EUより先に批准することは難しい情勢だ。発効が決まってからの「後追い批准」になると、温暖化対策でのリーダーシップを発揮することはまず、不可能に近い。

 

http://unfccc.int/resource/docs/2016/cop22/eng/01.pdf