HOME8.温暖化・気候変動 |国際民間航空機関(ICAO) 国際線のCO2排出規制で合意 2020年水準で維持。以降の増加分は排出枠購入義務づけ。カーボンクレジットへ新たな需要。利用者負担の「カーボン・チャージ」の可能性も(RIEF) |

国際民間航空機関(ICAO) 国際線のCO2排出規制で合意 2020年水準で維持。以降の増加分は排出枠購入義務づけ。カーボンクレジットへ新たな需要。利用者負担の「カーボン・チャージ」の可能性も(RIEF)

2016-10-08 16:35:44

koukukiキャプチャ

 

  国際民間航空機関(ICAO)は6日、各国の国際線の航空機が飛行中に排出する温室効果ガス排出量を、2020年の水準で維持する基準の導入で合意した。21年以降の増加分については排出枠の購入を各航空会社に義務づける。

 

 ICAOは世界の民間航空機の運航ルールなどを定めている。先月27日からカナダのモントリオールで、185カ国の代表が参加して年次総会を開いていた。

 

 CO2などの温室効果ガス排出量を2020年水準で維持する規制は、今回の排出量制限協定に自主的に参加を表明した日米欧、中国など(64カ国、6日時点)で始める。2027年以降には、一定の排出量を持つ国にも広げる方針。また航空機の燃料効率を毎年1%から2%程度改善していくことでも合意した。

 

 ICAOでは、今回の削減合意の対象は、2021年までに世界で運航されている国際線の83%に及ぶとみている。国際航空利用の増大を受けて、21年以降の増加分の排出枠購入費用の増加が予想され、それらの費用については、利用者に「カーボン・チャージ(仮称)」などの形で転嫁される可能性がある。

 

 国際航空によるCO2排出は世界のCO2排出量の約2%を占める。これまでも規制が議論されてきたが、国ごとの規制権限を離れた国際空間上であるため、温暖化対策の国際的な枠組みである京都議定書やパリ協定の対象に入っていない。

 

 今回、主要国を中心とする排出削減の枠組みができたことで、各航空会社は機材を省エネルギー型に切り替えたり、航空機燃料にバイオ燃料を導入するなどの動きが広がるとみられる。また排出枠は現在、欧州連合(EU)が域内で実施しているほか、中国が来年から全国規模で排出権取引を実施する予定。国際線航空機の排出権取引に既存の排出枠をどう適用するかの議論が高まりそうだ。

 

 国交省の試算によると、日本の航空会社の場合、現状のままだと、2035年には年間数百億円の負担増になる可能性があるという。

 

 全日本空輸は「省エネ機材の導入などの基本方針は今後も変わらない」と説明している。また日本航空も「バイオジェット燃料の開発や着陸時の運航の工夫などの取り組みを継続していく」としている。

 

 石井啓一国土交通相は7日の記者会見で「今回の合意は大きな一歩。国際航空分野でのCO2削減という“待ったなし”の課題に引き続き積極的に取り組みたい」と述べた。航空会社に新たな排出削減対策負担が生じる点については、「日本だけでなく、世界の航空会社が対策を講じるものなので、航空会社が自助努力で進めるべきだ」とし、補助金等の支援をする考えはないことを明らかにした。

http://www.icao.int/Pages/default.aspx