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COP22開催のモロッコ 国内の15000以上のモスクのグリーン化計画に着手。「グリーン・モスク」で人々の信心も深まる(RIEF)

2016-10-11 16:00:22

moroccoキャプチャ

 

 来月に国連気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)の開催地となる北アフリカのモロッコは、パリ協定発効を踏まえた最初のCOPであることを期して、同国のモスクをグリーン化するプロジェクトを始めた。同国にある1万5000のモスクで消費する電力を40%削減するという。「グリーン・モスク」計画だ。

 

 同国の寄付・イスラム省によると、すでに8月に第一弾として、モロッコ国内の6つの主要都市にある64のモスクのグリーン化改装の入札を実施している。同国のすべてのモスクの一日あたりの電力消費量は90kWという。

 

 モスクのグリーン化の主な点は、モスク内の照明や空調などで使用する電力をLEDなどの省エネ型照明に切り替えるほか、太陽光発電電力の使用、太陽温水熱ヒーティングなどを活用する計画。いずれもモスクの外観の変更は加えず、クリーンエネルギー転換が可能になる。

 

 再生可能エネルギー導入を推進するため政府が設立したモロッコ・エネルギー投資会社の試算では、首都ラバトにあるモスクでは、消費エネルギーを68%も減らせるという。エネルギーの節約効果だけではない。礼拝前に手足を清める際に、太陽熱で温めた温水を使えるようになるほか、礼拝室の空調も可能になるので、信者にとって、今まで以上に居心地のいいモスクになるという。イスラム教への信心がさらに深まる期待もあるようだ。

 

 さらに、グリーン化に伴う工事によって、5000人の新たな雇用を生み出すという社会的効果もある。モスク改装工事への投資リターンは、エネルギー効率化による費用節減で生み出すことが可能になるという。

 

 工事はドイツの国際開発公社GIZが支援する形で進められる。同社は「モスクの快適さが増すことで、再エネや省エネに対するモロッコ国民の理解が高まり、事業もさらに進めやすくなるwin-winの関係が生み出される」と指摘している。改装に使用する技術は基本的に同国内で調達、活用できるものばかりだ。

 

 「モスク・グリーン化」のアイデアはモロッコ国内から提唱された。国王のモハメド VI は、このアイデアを賞賛し、強力な推進力となっている。モロッコは2001年にCOP7を、今回と同じマラケシュで開催した経緯を持つ。そして今回はパリ協定を受けたCOP22の開催国だ。国王は「COP22の開催は、わが国がパリ協定の実現のために活動してきたことを象徴し、今後も気候変動の影響を被る途上国のために活動していくことを示す」と胸を張っている。

 

 COP22は11月7日から18日の日程で開かれる。